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穴を掘っている
第6章 終焉
茉莉亜はマンションの下まで下りていった
悠真の父親はすでに待っていた
車に近寄り乗り込むと……茉莉亜は悠真の手紙を父親に渡した
父親は何も言わず、その手紙を見た
「………一線を越えたか?」
その手紙の内容で……
父親は茉莉亜に問い掛けた
「………はい……最期に一度と言われて……」
「………責任は俺にもある……」
父親は茉莉亜を抱き締めた
「………悠真のいるであろう場所に連れて行って下さい
この手紙で貴方に謝るって事は……
悠真はそこで……死ぬ気なんでしょ?」
母親ならではの……言葉だった
父親は車を走らせた
「………悠真は芹香と寝てたんだ……」
「………え……」
突然語られる言葉に……茉莉亜は言葉を失った
「………あいつは義理の母親になる女と寝てた…
そして……芹香は悠真の子を妊娠した……
産むと決めた日……あいつは俺に総てを語ったよ」
「………離婚……したんだよね?」
「……芹香から切り出された
もう愛してないって言われた
愛してるのは悠真だけだって……」
茉莉亜は顔を覆った
義理とはいえ親子になった関係の婚姻は許されない……
芹香は悠真を心底愛していたのだろう……
「茉莉亜……悠真をあそこまで追い詰めたのは……
俺達……親の責任だ……
俺達はアイツの孤独も哀しみも知る事なく過ごしてしまった……
あっちこっち……親のエゴで……やられた傷は……深いんだろう……
俺達の責任だ……」
「………ごめんなさい……」
「俺は……一度だって……悠真の父親じゃなかった……」
父親は自分を悔いていた
車は郊外を走っていた
かなり人里離れた所を走っていた
淋しい所にポツンと建ってる家の前に車を停めた
「ここは?」
「悠真に言われて買ってやった家だ」
家は真っ暗で電気すら着いてなかった
父親は鍵を取り出すと……玄関を開けて家に入った
家の中は………
家具一つなかった
ガランとした……部屋には……
何一つ家具はなかった
「………こんな所に……いたというのか?」
父親は唖然として呟いた