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ラブカルチャースクール 3
第8章 Lesson 困惑

「ハナブサ……さん」
「琴海さん、ご無事ですか?」
ハナブサは扇子を拳銃のようにイオリに指し向けながら、私の近くまで来てくれた。
眼鏡越しにハナブサの黒曜石が、鋭くイオリを睨んでいる。
いつも冷静沈着なイメージのハナブサが、こんな表情を見せたのはセルジュの講義以来ではなかろうか。
ハナブサより背の高いイオリは、顎を少ししゃくって見下ろしてきた。
「まるで俺が何かしたような言い草だな」
妖しい雰囲気しかなかったイオリに、明らかに感情的なものが見て取れた。
ハナブサとイオリ……
この二人の張り詰めた空気は、以前のヤナセの時とはまた別物だ。
もっと何か深い因縁めいたものがあるように思える。
「イオリ、お前がこれ以上琴海さんたちに近付いたら許さない」
更にヤナセ並みに常に丁寧語のハナブサの口調が変わった。
ドックン――ドックン――
な、何があるの……この二人。
明らかにただならぬ空気に、緊張感が否応なしに増幅されて脈が早まっていく。
「近付くな言ってもレッスンがあるしな。それよりその扇子ばかり振りかざすのをいい加減やめたらどうだ」
真剣に扇子を向けるハナブサをイオリは嘲るように、口端を片方上げて言った。
「お前に指図される覚えはない」
「その言葉……そのまま返す」
扇子のことにまで触れてきたイオリにハナブサはきっぱりと言い切ると、イオリも負けじと言い返す。
個性的な美形二人の険悪な状況は、周囲を威圧するほどの迫力を漂わせていた。
「琴海さん、ご無事ですか?」
ハナブサは扇子を拳銃のようにイオリに指し向けながら、私の近くまで来てくれた。
眼鏡越しにハナブサの黒曜石が、鋭くイオリを睨んでいる。
いつも冷静沈着なイメージのハナブサが、こんな表情を見せたのはセルジュの講義以来ではなかろうか。
ハナブサより背の高いイオリは、顎を少ししゃくって見下ろしてきた。
「まるで俺が何かしたような言い草だな」
妖しい雰囲気しかなかったイオリに、明らかに感情的なものが見て取れた。
ハナブサとイオリ……
この二人の張り詰めた空気は、以前のヤナセの時とはまた別物だ。
もっと何か深い因縁めいたものがあるように思える。
「イオリ、お前がこれ以上琴海さんたちに近付いたら許さない」
更にヤナセ並みに常に丁寧語のハナブサの口調が変わった。
ドックン――ドックン――
な、何があるの……この二人。
明らかにただならぬ空気に、緊張感が否応なしに増幅されて脈が早まっていく。
「近付くな言ってもレッスンがあるしな。それよりその扇子ばかり振りかざすのをいい加減やめたらどうだ」
真剣に扇子を向けるハナブサをイオリは嘲るように、口端を片方上げて言った。
「お前に指図される覚えはない」
「その言葉……そのまま返す」
扇子のことにまで触れてきたイオリにハナブサはきっぱりと言い切ると、イオリも負けじと言い返す。
個性的な美形二人の険悪な状況は、周囲を威圧するほどの迫力を漂わせていた。

