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ラブカルチャースクール 3
第12章 Lesson 欲
あ……。

身体中が、優しく包み込まれるような甘い声――――。

そして誰よりも愛しい人――――。

「セイジ……さん」

「……ハァイ! セイジ」

妙な間合いを置いて、セルジュは呼び掛けられた方――セイジの方へ振り向いた。

セイジは視線を動かし、セルジュの手が私の肩に掛けたままなのを確認する。

だけどセルジュはセイジの視線など気にしていないのか、手を肩から退かす気がない様子だ。

ほんの少し目を細めたセイジの顔が心なしか、いつになく怖いような気がした。

どうしたらいいんだろう……。

勝手に来たのは私だし、セイジを巻き込みたくない。

ここはセルジュに上手く合わせて、何とかこの場をやり切ろう。

私はセイジに、ニッコリと笑い掛けた。

大丈夫だよセイジ――だから今はこれ以上、関わらないで。

セイジに心の声を飛ばすように、満身創痍で微笑むと―――

「琴海さん、ごめん! ヤナセに言われていた資料だろ! わざわざ昼休みに取りにこさせちゃって、ごめんね!」

満面の笑顔でセイジは頭を掻きながら、ヤナセの名前までだしてそう言ってきた。

「あ……」

「ハァ~?」

あれ? 
本当にヤナセがセイジに資料を頼んだのかな?

自然に言われたヤナセの名前にそんな気すらさせるほど、セイジの機転はリアルに感じた。

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