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ラブカルチャースクール 3
第12章 Lesson 欲
セイジの胸に埋もれそうなくらい、出せる力いっぱいセイジを抱き締める。

「琴海……」

私の名前を囁きながら、セイジは私の頭を優しく撫でてきた。

よし、あともう少しかも!

「ぎゅうぅぅぅぅぅ~」

ラストスパート掛ける思いで、渾身の『ぎゅうぅ~』でセイジを抱き締めると――――

「……ぎゅうぅ」

セイジの両腕が私の身体を包み込み『ぎゅうぅ返し』をしてきた。

キュンッ!

ただ抱き締め返して貰っただけなのに、何だか凄く嬉しい。

「セイジ……」

優しく包んでくれる広い胸の中に頬を擦り付けるように押し当てると、セイジの頬が私の頭に乗ってくる。

「琴海……ありがとう。もう大丈夫だよ」

セイジの落ち着いた声に、私も穏やかな気持ちになれた。

「ふふふ……良かった~」

「まさか、ここで『ぎゅうぅ』されるとはね」

少し苦笑いした声が頭上に響く。

「え? 驚いた」

「うん、ちょっと……でも嬉しかった」

「えへへへ……」

抱き締め合ったまま短い言葉を繋いでいくだけのこのやり取りが、胸の奥までポカポカしてきて心地よかった。

セイジはゆっくりと身体を離してきて、いつもの優しい微笑みで見詰めてくる。

「まだ少し時間あるし、座ろっか」

「うん!」

もう少しセイジと居られるのが嬉しくて満面の笑顔を浮かべたら、セイジもニッコリと微笑んで私の手を握ってソファーまで歩きだした。

ソファーまでの距離は、ほんの数歩なのに……

手を繋いで歩く数秒間がとても愛しく思えた。

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