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ラブカルチャースクール 3
第14章 Lesson お忍び
そのヤナセの笑顔の、ピンと張りそうになった気持ちも綻んでいく。

「は、はい! では、頂きます!」

そうだよね、店長が折角作ってくれたんだもの……
しっかりと味わおう。

コクリ――
一口、口に含むとベリーの酸味とシロップ甘さが絶妙なバランスで混ざり合い、爽やかな香りが鼻腔に広がってきた。

「お、美味しいぃぃぃ」

余りの美味しさに、思わずどもってしまう。

「クス……流石、マスターですね」

グラスの中の味が分かっているかのようにヤナセは微笑み、自身はいつものブルーマウンテンを味わっている。

それにしても何で紅茶じゃなくて、ヤナセは敢えてベリーソーダを頼んでくれたのだろう?

「ヤナセさん、どうしてこれを?」

久しぶりにお店に来たから、珍しい物にしてくれたのかな?

程度に思っていたら――――

「後程……鉄剤飲まれるかと思いまして……失礼ながら、勝手に選ばせて頂きました」

「あ……なるほど」

さっき渡してくれた鉄剤を確かに飲もうとしていた。

そうなるとお茶系は避けた方が良いから、いつもの先読みをしてくれていたのだ。

「何から何まで……お手数お掛けいたします」

ヤナセの配慮に、有難さと申し訳なさで頭が下がる。

「いえ……大したことは、しておりませんので」

ヤナセは本当に大したことなさそうに、微笑んでいるけど――――

ヤナセ様ぁぁぁ――――!

貴方にとっては何てことない気遣いが、庶民の私にはエベレスト並みにハイグレードなのでございますぅぅぅ――!

――――心の中で叫びながら、チゥ~とベリーソーダを口いっぱいに含んだ。

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