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ラブカルチャースクール 3
第14章 Lesson お忍び
一瞬ホズミの動きが止まり、雷でも落ちたみたいな衝撃を受けた顔になる。

「きぃぃぃ! 敢えて突っ込まなくてもいいでしょ~! この筋肉バカ!」

「筋肉が、馬鹿な訳ないだろう」

姉さんの反論に、ワタリが真顔で答えてきた。

「え……?」

「クス……」

これはマジボケだろうか?

流石に姉さんもそれ以上言う気が失せたのか、呆れた顔で手のひらを上に向けて肩を竦める。

「はぁ~もういいわよ」

ホズミは渋々と残りのソーダを飲み干した。

「何が、良いんだ。帰るぞ、ホズミ」

「グエェッ!」

ワタリはまだマジボケ続行中なのか噛み合わない会話をしながら、ホズミのカウボーイ風にしたハンカチを摘み上げる。

吊り上げられた状態になったホズミは、カエルみたいな声を発した。

何か姉さん、散々だな……。

「ちょっ! もっと優しくしてちょうだい!」

「あぁ? 充分だろ」

どうやらワタリにとっては、これが姉さんへの丁重な扱いのようだ。

まぁ……私もレッスン後に歩けなかった時に、猫みたいにぶら下げられて運ばれたしね……。

ワタリの親切と優しさは、今だに分かりにくい。

「ワタリも……折角来たんだから、何か食べていかないか?」

ここでヤナセはホズミに助け舟でも出してあげたのか、ワタリに休んでいくように声を掛けた。

同席すること自体は気にしないが、ワタリにまでレッスンの話を聞かれるのは何となく微妙だ。

だけどワタリは――――

「今日はいい。また改めて来る。チビと大事な話があるんだろ」

ヤナセのお忍びの意図を察したのか、即答で誘いを断った。

態度は無骨でも……気遣いは相変わらず細やかだ――――。

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