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ラブカルチャースクール 3
第19章 Lesson 女子会

「琴海さん……レポートは日までにお願いします」
「レポート……承知しました。失礼します!」
いつもの如く少し長引いた報告に、感謝と申し訳なさがミックスされ、少し重たい気持ちで深々と頭を下げる。
教室を背に、廊下を急ぎ気味に歩いていく。
無機質な廊下はゴールが見えない迷路みたいで、妙に煩い脈を逸らせる。
ヤナセとの会話に、一喜一憂してばかりだった自分――――。
駄目だ、チワワ!!
こんなことで簡単に弱気になっていたら、途中でへこたれてしまう!!
色んなことがあって、少しずつでも成長していると思っていたけど、まだちょっとしたことで一喜一憂して全然ダメだ。
不安要素がある新人とのレッスンに、ベテラン講師が立ち会ってくれる方が安心な筈なのに――――
「最初のヤナセとのレッスンが、一番衝撃的だったじゃないの……」
それなのに――――
「はぁぁぁ……」
深海に誘う鉛は、中々外れない。
「しっかりしなきゃ……ヤナセが大丈夫って言ってくれてるんだから」
誰も見ていない顔に力が込めるが、自然と手がスーツのポケットに向かっていき、安定剤を掴む。
視線を落とさなくても指先は勝手に安定剤を包装から取り出し、口の中に放り込んだ。
舌の上に乗った瞬間、甘酸っぱい味が口内に広がっていく――――。
「セイジ……いつ帰ってくるかな……」
愛しい三文字を呟くだけで、圧し掛かる重石が気持ち浮上する。
自分の足で立って行こうと思っていても、私の元気の源はセイジなんだと実感してしまう。
でも――――
「甘えてばかりいちゃ、駄目だよね……」
居ないセイジの背中を追うように、足早に廊下を駆け抜けた。

