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ラブカルチャースクール 3
第20章 I Lesson 6回目
ワタリを待たせてはいけない――――!!

――――のつもりで、急いで着替えたけど、ブラウスのボタンがすんなりと外せなくて、いつもより時間が掛かってしまった気がする。

「お待たせしました!」

ドアを開け放ち、ゴールに駆け込むみたいに両手を広げてレッスン室に入ると、腕を組んで睨み付けるワタリと目が合う。

『遅い! チビ!』――――早速飛ばされる怒号に、反射的に頭を下げかけたが、

「あぁ、準備は出来たか?」

強面な人相とは裏腹に、低いけど少し穏やかな口調でワタリが問い掛けてきた。

「は、はい。出来てます!」

着替え終わっているのに敢えてワタリが、そう聞いてきた意図など考える余裕もなく、背筋をピシッと伸ばして答える。

明らかに緊張感を放出している私に、ワタリは細い目を更に細めてきた。

「心の準備は出来ているか? 油断はするなよ……」

「はい……」

流石スパルタンワタリは、ぶれずに厳しい。

解ってはいたが、今日は一切の甘えを排除しろ――――ってことかもしれない。

圧し掛かってくるプレッシャーに顔が俯きかけた時――――。

「だが、無理はするな」

「は……い?」

変わらず口調は厳しいが、囁くように言われた言葉は温かい――――。

驚いてキョトンとしている私の顔を高みから一瞥した大鷲は、腕を組んだまま正面を見据え直す。

「報告は聞いていると言っただろ。何かあれば、直ぐに対処する」

指導する立場なら前回のレッスンの報告を確認するのは、当たり前だろう。

だけどワタリなら、より細かく聞いている筈だ――――ヤナセから。

ヤナセとワタリのやり取りをしている姿が目に浮かんだ途端、不安の泉の底から勇気が沸々と湧き上がってきた。

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