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ラブカルチャースクール 3
第20章 I Lesson 6回目
一瞬、気持ちを他所に向けている間に、ローブは腕を滑り抜けて床に落ちていく。

パサッ――――力ない音が微かに聞こるのと同時に、リクの顔が目の前に近寄っていた。

「あ……」

「コトミさん、キスして良い?」

「う……ん」

嫌です! ――――なんて言える訳ないレッスンで、敢えて聞かれても~!

なんて心の中で突っ込んでみたりしたが、今は『生徒役』として臨場感を出すのが女性講師としての使命――――。

色々思うことはあるけど、このレッスンは絶対無事に終わらせるのだ!

あれこれと頭の中がグルグルしている姿が、戸惑っている風に見えたのか、リクが珍しく穏やかな表情で微笑んできた。

「大丈夫ですよ。優しくしますので、そんなに緊張しないで下さい」

「あ、ありがとう。やっぱり緊張しているのかもね」

「そりゃぁ、ギャラリーが居ながらのセックスなんて早々ないし……それにあれですからね」

「あれ?」

「正に、四天王というか。眼力半端ないし」

「眼力……ぷっ」

胡散臭いリクでも、ワタリのイーグルアイの威力を感じているようだ。

ひそひそ話でも少しは聞き取れているのか、ワタリの目が更に細められた。

ヒィィィ! やっぱ、迫力が違うぅぅっ!

流石の目力に震え上がった途端、さっき言ってくれたワタリの言葉が頭に過る。

『心の準備は出来ているか? 油断はするなよ……』――――。

「っ……」

そうだ、常に心しておかなければならなかった。

何となく和やかな雰囲気になっているけど、このレッスンは油断大敵だ。

最後まで決して、気を抜いてはならない――――。

『立ち合いレッスン』――――最初にして最大の難関である。

ジッと凝視しているワタリに頷き返す代わりに、リクに視線を戻す。

至近距離で甘く微笑むリクの瞳の奥に潜む影は、まだ見えない――――。

「宜しく、お願いします……」

決意表明のように囁くと、口端が少し上がったリクの冷たい唇が自分のものと重なった。

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