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ラブカルチャースクール 3
第20章 I Lesson 6回目
いよいよ始まった――――。

軽く触れあっている唇の温度が、冷たく感じる。

薄い表皮の奥に何を秘めているのかと思うと、唇に全神経が集中していく。

リクの唇が、動き出した。

――――キタッ!

まるで釣り糸に獲物が掛かった瞬間みたいに、反応してしまう。

どんな出方をしてくるか――――大好きな相手とだったら幸せで全身が蕩けそうになるだろうけど、リクが相手なだけに身体が緊張で硬くなっていく。

きっとそれはリクにだって、伝わっているだろう。

だけど何もないようにリクは唇を少しずつずらして、ゆっくりと表面を撫でるキスを続けた。

『緊張してるね……』――――そんな優しい声が、頭に過る。

もしこれがベテラン講師なら、緊張を解してくれただろう。

でもリクは新人だし、まだ若いし、下手に気を使われるより知らないフリして貰った方が良いのかな――――?

こういう時、まだ葛藤してしまう。

女性講師として、どうあるべきか。

私も新人講師たちと一緒に、成長しないといけないんだ。

悶々と考えていたら、ちょっと意識がリクから離れたみたいで力が抜けた。

「あ……」

リクに身構え過ぎるから、緊張してしまうんだ。

慣れるまで他のことに意識を持っていく作戦もありかもしれない。

ほんの数ミリだけど、見えかけてきた出口に気持ちが明るくなる。

今日のレッスン――――無事にイケそうな気がしてきた。

これもラブカル四天王ワタリ様のご利益だろう。

有難さに、心の中でワタリに合掌をする。

想像の中でも睨みを利かせて仏頂面なワタリに、自然と口元が綻ぶと――――気の緩みを察したリクが、唇の隙間を割るように舌先を差し込んできた。

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