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第20章 I Lesson ６回目

「っ！！」

キタァァ――――！！

二度目の手応えに、船の上で力を込めて釣竿を握る感覚になる。

否――――むしろリクにとったら、私の方が獲物なのかもしれない。

思わず釣り糸の先で、翻弄されている自分が頭に浮かぶ。

むむむむぅぅぅ！！　負けてなるものか！

侵入して来ようとする舌に口の中を蹂躙されまいと、自分の舌に力を込めて左右に揺らして待ち構える。

さぁ来い！　どんな舌も打ち返してやる！！

キスでここまで、気合が入るのも早々ない――――今日はレッスンという名のバトルだ。

私の攻防を知ってか知らずか、リクの舌先は入り口から先へと入ってこない。

更に牽制でもするかのように、舌先で隙間を撫でながら縁どっていく。

その感触はくすぐったさよりも、ゾクゾクとして寒気に近かった。

「んっ……」

込み上がってきそうな恐怖感に声が震えそうになるが、なんとか堪えて喉の奥で止まらせる。

大丈夫――――まだ試合は、始まったばかりだ。

少し後退ってしまったが、気を取り直してファイティングポーズを心の中で構える。

漏らした声に私が反応したと思ったのか、リクの舌先が新たな動きをし始めた。

今度こそクルゥゥゥ――――！！

簡単に敷居を跨がせてなるものかと、さっきまで左右に揺らしていた舌をフェンシングの剣を突くかの如く前後に動かして、新たな防御作戦に出てみたら――――ヒョイ！　

「え？」

急に体が、宙に浮いた。