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ラブカルチャースクール 3
第20章 I Lesson 6回目
言葉が出ないのか、選んでいるのか――――無言のリクにワタリは眉間に皺を寄せ、益々表情を厳つくさせて言葉を続けた。

「カミジョウさんからも、教わっている筈だ」

ワタリの重々しい声が、リク越しに圧し掛かってくる。

途端リクが身体はベッドから素早く下りて、ワタリに深々と頭を下げた。

「すみません。そうでした。気を付けます」

しっかり身に付いた綺麗なお辞儀だが、表情は全く見えない。

ワタリからカミジョウさんの名前まで出されては、リクも下手な言い訳は出来ないと思ったのか、素直且つシンプルに謝っている。

こういうところは抜かりないけど、さてワタリに通用するだろうか――――?

引き続き胸を晒したままことの行く末を見守っていると、頭を下げ続けているリクにワタリは目を細めた。

「……続けろ」

引き締まった唇から、数秒の間を置いて放たれた言葉に意味深な響きが漂っているように感じても、ワタリはそれ以上語らない。

リクはゆっくりと頭を上げると私の方に身体を向き直しワタリにしたのと同じく、綺麗な姿勢で頭を下げた。

「コトミさん、すみませんでした」

「う……うん」

申し訳なさそうに切なげな表情を見せるリクの顔は妙な色気を醸し出していたが、それに心が揺り動かされることはなかった。

この表情に、騙される人もいるのかもしれない――――けど! 

『色気の化身』がずっと担当講師なだけに、リクくらいは普通に見えてしまう。

ちょっと複雑な気持ちだな。


何はともあれ――――ワタリの見事な洞察力で陰湿な牽制は回避できたが、こんな形でレッスンが中断してしまって、続きがしにくくならないかな?

ここは私から何か切り出した方が、良いのかもしれない――――。

ちょっと渇いた口の奥から、勇気を振り絞る。

「リク……あの……」

「続けますね」

「え?」

リクはさっきまでの表情とは打って変わってニッコリと微笑み、軽やかにベッドの上に戻ってきた。

やっぱりコイツ、油断大敵――――!!

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