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ラブカルチャースクール 3
第20章 I Lesson 6回目
どうしよう――――どうしたらいいんだろう!
今こそ、非常をボタンを押さねば! ――――って、ボタンがないぃぃぃ!

いつもなら何かあった時のために置いてある非常ボタンが、今回は外されている。

多分、立ち合いが入るから不要とみなされたのかもしれないが、こういうパターンも新たな想定内にしておいて欲しかった。

一匹で焦るチワワの困惑を余所に、先に沈黙を破ったのはリクだった。

「……すみません。緊張していたもので」

リクは割と普通の言い訳をして、ワタリに深々と頭を下げた。

カッコつけることもなく、初々しい理由を言ってきたリクに、ワタリはどう対応するのだろう――――?

ワタリに目線を向けると、腕を組んで強面の顔を少しも動かすことなくリクを睨ん――凝視している。

表情が怖いワタリに、リクは反省の言葉を続けていく。

「次回は、つまらないと言われないように……」

「緊張してたなんて言い訳、実際のレッスンには通用せんぞ」

リクが話しいる途中で、ワタリがバッサリと切りに掛かってきた。

「すみません。そうですよね」

角度的にはっきりとは見えないが、淡々とした声でワタリに答えていくリクの声には動揺は感じられない。

その声のトーンに、反省の色は感じられそうになかった。

ワタリはどう思っているんだろう――――?

乳首噛みさえ見破ったワタリが、リクの嘘を見分けられない筈はないと信じたい。

「お前がどんな理由でここに来たかは知らんが、やる気がないなら早く辞めろ」

リクへの視線を一ミリもずらすことなく、ワタリは重たく迫力のある声を投げつけた。

「……分かりました。次回はしっかりとやる気をお見せ出来るようにします」

言葉を失うことなくなんとかリクも答えてはいたけど、声音が強張っているように聞こえる。

「今日はここまでだ、二人とも早く着替えろ」

そんなリクの様子にもワタリは強面のまま、ドスの利いた声でレッスンを締めくくった。

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