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ラブカルチャースクール 3
第5章 Lesson 体力作り
ファスナーを上げきって襟元をタートルネックみたいに曲げ、袖は軽く捲っている。

中学男児でもする格好なのに、ヤナセがしていると格別に思えるから不思議だ。

ちょっとぉぉぉ――――!!
何だぁ~! このカッコ良さはぁぁぁぁ――!!

普段の仕立ての良さそうなスーツだって眩しいのに、ジャージ姿まで様になっているなんてズルイ!!

ヤナセに、二物以上与え過ぎなんじゃぁないの――!!

口を呆然と開きながら心の中で大騒ぎしていると、カレンとサナも同じく何か思っているのか無言になっている。

ただ一人だけ、違うところに反応した。

「ヤナセとヨウコさん……どういう関係よ」

さっきまでフレンドリーに話していたヨウコさんを見る目つきが、獲物を狙う肉食動物みたいに座っている――――ジュリ!

ジュリはどうやらヤナセがヨウコさんにタメ口になっているのが、気に食わないみたいだ。

ど、どうしよう……
「只の同僚じゃない?」て、私が答える訳にもいかないよね。

ここは聞こえない振りしておこうと決め込んだ。

「私は自分のトレーニングに戻るから~! 皆、無理のない程度に頑張ってね!」

それに引き換えヨウコさんは励ましの言葉を残して、爽やかに去っていく。

「では……これからジム内の器具の使い方も説明致しますが……各自の基礎体力に合わせたトレーニングメニューで行って頂きます」

「それぞれ違うんですね」

サナの問いに、微笑みながら頭を傾けたヤナセの髪が静かに揺れる。

「はい……皆さん体格も体力も違いますので」

ジャージ姿でもヤナセは美しい笑顔は変わらない。

だけど、聞きなれている筈の敬語が少し遠く感じた――――。

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