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ラブカルチャースクール 3
第20章 I Lesson 6回目

カチャ――――。

着替え終わって恐る恐るドアを開けると、レッスン室にはリクの姿は見えず――――。

「遅いぞ、チビ!」

「は、はいっ! すみません!」

腕を組んで鋭い睨みを利かせている、巨人が待ち構えていた。

ひぃぃぃ~。
これは絶対、怒られるでしょ!

『お前もつまらないレッスンするな!』

まだ何か言われた訳じゃないのに、心の中は既に怒鳴られているシチュエーションが出来上がっていく。

ワタリまで数歩で辿り着く筈なのに、足が重たくて上手く進めない。

それでも何とか摺り足気味で進んで行くと、自分なんかすっぽりと飲み込んでしまいそうな大きな影がゆらりと揺れて、つま先が触れただけで飛び上がりそうになった。

瞬間――『チビ、やる気あるのか!』ワタリの怒号が轟いた――――。

「申し訳っ……」

「頑張ったな」

――――と思って咄嗟に謝ってしまったが意外にもワタリの声はいつになく優しくて、それこそ青天の霹靂だった。

今、『頑張ったな』って言ったよね?
幻聴じゃないよね?
否、やっぱり聞き間違いだったんじゃない?

予想だにしてしていなかったワタリの言葉は、チワワに豆鉄砲だ。

現実から飛ばされている私の状態の理由を察したのか、ワタリはもう一度同じ言葉を繰り返した。

「チビ、頑張ったな」

その言葉と一緒に、大きな手のひらが頭の上にずっしり載っかかる。

たった一言だけど、ぶっきらぼうなワタリにとっては最上級の労いの言葉だろう。

ワタリの手のひらと言葉の重みに、胸が熱くなってきた。


それにしても――――この状態って傍から見たら、UFOキャッチャーか当に『鷲掴み』だよね?

このままどこかに飛んで連れて行かれそうな雰囲気に、せっかくの感動も飛ばされそうな気分だった。

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