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ラブカルチャースクール 3
第23章 Lesson 『挿入』問題
「なによそれ~! 私が何かやらかす設定で話してるじゃない」

「クス……勿論」

「異議なし」

冗談ぽいけど、どこまでも本気――――。

互いを信頼し合っているのが伝わってくるやり取りに、聞いているだけでも心地良くなる。

「きぃぃぃ~! もういいわよ! とにかくクニミツには『乙女心』講座を受けさせてちょうだい!」

「構いませんが、テキストがありませんよ」

「ふふ~ん。テキストは、私自身よ~!」

「はいはい」

舞台にでも立っているみたいに、ホズミが片手を胸に当てて、もう一方の腕を高らかにあげた。

スポットライト一人占め風ポーズのホズミを完全にスルーして、ハナブサがタブレットを淡々と操作していく。

どうやら本当に、クニミツはお姉の『乙女心』講座を受講することになってしまった。

胸の奥が、ざわついてくる――――。

いいな――――私も受講したいな。

女性で『乙女心』を学ぶなんて変かもしれないけど、姉さんがどんな風に男性に教えるのか物凄く気になってしまう。

ハナブサに塩対応されたのに、まだポーズを決めているホズミをジッと眺めていると――――

「琴海さんも……『乙女心』講座、受講されてみますか?」

流石、何でもお見通しのヤナセが、私の心の中を読み取ってくれた。

『はい! 是非とも!』――――と言いたいところだけど、これはクニミツのために開かれる講座だし、安易に希望していいものなのだろうか?

「……いいんですか?」

申し訳なさそうに聞き返すと、ヤナセは一瞬で悩殺されそうな艶やかな笑顔を浮かべる。

「ええ……一向に構いませんよ。琴海さんがいらっしゃった方が、クニミツも心強いと思いますし」

許可が貰えた嬉しさと、さり気なく添えられたヤナセの言葉に少し照れ臭い。

「えぇ!? そうだといいんですが……でも参加したいと思ったので、凄く有難いです!」

「こちらこそ……いつも琴海さんの前向きさには、パワーを頂いていますから」

「へっ、滅相もございません!」

「クスクス……本当ですよ」

更に思いもかけないヤナセからの過大評価に、頭から湯気が出そうなくらい身体が熱くなったが、そうさせている当の本人は、どこか懐かしむような――――少し遠くを見ているように感じた。

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