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ラブカルチャースクール 3
第24章 I Lesson 8回目
急に動きを止められたものだから、前に進もうとした力の反動で、若干後ろに仰け反り気味になりながら私はヤナセの方を振り返る。

ヤナセが突然、腕を掴んでくるなんて珍しい。

「ヤナセさん……?」

不思議に思って見上げると微かな風にも揺れるサラサラの前髪の奥から、ヘーゼルの瞳が憂い気に揺らめいて見えた。

何か言いたげな瞳――――。

「ヤナセさん……どうかしましたか?」

寧ろどうかしないと、こんなことしないだろう。

途端、これからのレッスンで待ち受けていることの重大性を物凄く感じた。

そうだ、これ以上ヘマは出来ない――――。

ヤナセが担当している女性講師が、役立たずだったらヤナセの評価が下がるし、まだ『掟改正』がされていない状況で、アラタを勘違いさせて変な行動に出られてしまったら、『掟改正』自体、なかったことになってしまうかもしれない!!

ヤナセがこんな神妙な表情になるのも、頷ける。

私はずっとヤナセに助けられてきてばっかりいるけど、『掟改正』を実現させるためにも、それを邪魔する輩を炙り出すためにも、今日のレッスンは何としても無事に終わらせてみせますとも!

溜息なんか吐いている場合じゃなかったんだ。

きっとヤナセはそれを分らせてくれるために、わざわざ腕を掴んだに違いない。

流石、ヤナセ様ぁぁぁ――――!

「分かりました! 任せて下さい! 立派に任務を遂行して参ります!」

気合が入り過ぎて勢いで敬礼までして答えたが、その瞬間、ヤナセの憂い気な瞳は大きく見開いて、次に花弁のように優しく微笑んだ。

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