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ラブカルチャースクール 3
第24章 I Lesson 8回目
「コトミ、どうかしたのか!」

アラタが更衣室に到着するまでほんの数秒だった筈なのに、時が止まったように感じる。

その間セイジは頬を挟んでいた両手を私の肩に移動させて、何もなかったかのようにドアを開けたアラタの方に振り向く。

「ドアが少し開いていたから不思議に思っていたら、琴海さんが座り込んでいたから貧血かと思ってね。ちょっと立ち眩みしただけみたいだったけど、今日のレッスン無理はさせにように気を付けるように」

「あぁ、分かったよ。コトミ、大丈夫か?」

「う、うん。ちょっと緊張してるのかも……」

さも本当に私が具合悪そうにしていたみたいに、セイジがは真剣な顔で説明するものだから、それを鵜呑みにしたアラタは神妙な顔で頷いた。

わぁぁぁ! セイジの咄嗟の嘘を信じちゃったよ。

本当は『キス』していたのに――――。

若干の罪悪感と幸福感に微妙な気持ちになって、セイジの顔をチラ見すると、その原因の講師は口角を軽く上げて意味深な笑みを浮かべている。

もう、この確信犯!

二人だけの『甘い秘密』がまた増えたことに、胸の奥が甘酸っぱく疼いた。

セイジは私の胸をときめかせるだけではなく、上手い具合にアラタに先手を打ったのである。

私の体調を微妙にしておけば、アラタだって前回みたいな無茶ぶりは出来ない筈だ。

もし後々この『嘘』がバレたとしても、さっきのアラタの発言を報告すれば、セイジがこういう手段を取らざる得なかった事情を理解して貰えるだろう。

生徒の時から私とセイジは、二人だけの『秘密』という『嘘』を積み重ねてきた――――。

それはラブカルへの背徳行為だとは、分かっている。

だけどこの気持ちは、どうにも止められなかった。

正当化出来る立場ではないけど、その償いとして私たちは、ラブカルに全力で尽くしていくしか術がない。

そして一緒に『罪』を背負ってくれたセイジを私は一生愛していく――――。

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