パソコンから！ケータイから！スマホから！無料でどこでも気軽に楽しめる官能小説サイト

第24章 I Lesson ８回目

『琴海……琴海……琴海……』

甘い声で呼ばれた名前が、頭の中でリフレインする。

きゃぁぁぁ――――！　
セイジ、カッコいいぃぃぃ！！

私の脳内が激しくセイジ限定応援団状態になっている中、アラタは必死でセイジに食らい付いていく。

「なぁセイジ先輩さぁ……それってどういう意味だよ。誤解されても構わないって訳か？」

さっきまでセイジのことを呼び捨てにしていたのに、細やかな嫌味かプライドなのか、急に『先輩』なんて敬称を使ってわざとらしい。

だけどそんな見え透いた挑発に乗るセイジではなかった。

首を少しだけ傾けると、余裕の笑みを浮かべたままアラタを更に煽っていく。

「誤解？　悪いけど、レッスンで生徒のこと呼び捨てにする講師なんてざらにいるから、これくらいで勘違いする人いないと思うよ」

確かに！　あの俺様ガキ大将のハヤトなんて、寧ろ呼び捨て当たり前キャラだし！

そう思うと、今更ながらハヤトのあの俺様ぶりも役に立つものだ。

セイジに賛同するのにコクコクと頭を前後に激しく振って頷くと、ハヤトの顔は瞬く間に消えていった――――。

まだ新人講師になって間もないし、先輩方のレッスンの話なんて然程聞かされていないだろうアラタはぐうの音もでないのか、セイジの返しに口を歪めて黙り込む。

そのアラタの姿に、私はセイジの圧倒的勝利を確信した。

やった～！　ブラボーセイジ！
これがラブカルでトップクラスの人気を誇る講師の実力であるぞ！

セイジのアラタの間で、ただ喜怒哀楽をフル発動させていただけなのに、まるで自分の手柄のように心の中で絶賛する。

これでやっと一段落と、安堵して胸を撫でおろす。

「じゃぁ……今日のレッスンはこれにて……」

「分かった！　今日は、俺も悪かったです！　だからレッスンははやらせてください！」

――――『終了』するかと思ったら、アラタはしつこく粘ってきた。