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ラブカルチャースクール 3
第24章 I Lesson 8回目
「お待たせしました……」

着替え終わった私は再びドアを恐る恐る開けて、レッスン室を覗き込んだ。

「え……」

予想に反してレッスン室からは、誰の声も聞こえてこない。

寧ろ物凄く静かで、人気を感じない――――。

「嘘……セイジ?」

アラタを部屋から出したのかも知れないけど、もしかしたらセイジも一緒に付いていったのかも。

それなら仕方ないよね。

アラタだけ出て行くように言っても、レッスンでさえあんなに駄々をこねたのだから、素直に出て行く訳ないだろうし――――。

私は力なくドアを押して、レッスンに戻った。

「うん……仕方ない……」

誰も居ない部屋、使わなかったベッドをぼんやりと見詰めながら、その場に佇んだ。

あの日のことを思い出してしまう。

マスターコースの時――――セイジとのレッスンが終わった後、普段なら一緒にお茶を飲める時間があるのに、セイジは着替え終わった私に会わずに出張に向かってしまった。

余りにも寂しくて、とっても悲しくて、無我夢中でタクシーに乗ったセイジを追いかけたことがあったよな。

そして心配したヤナセが、追い掛けてきて来てくれたっけ――――。

「やっと会えたのに……講師に慣れたのに……また離れちゃうの?」

生徒の時と違って、甘えた考えは捨てないとなのに、やっぱりセイジのことになると私は物凄く弱くなる。

目が熱くなって、視界が滲む――――。

一生会えない訳じゃないけど、もう少し一緒に居たかったよ。

「セイジ……今度はいつ会えるんだろ……」

また目の前から消えてしまうような不安に駆られて、決して皆の前では言えないであろう言葉を吐き出してしまう。

視界に幕を張った水分を頬に伝わさないように、顔を下に向ける。

力の入った肩を窄めて、手に拳を作り、小刻みに震え――――

「あ……」

「琴海、どうしたの?」

――――そうになった肩は、温かくて優しい腕に包まれた。

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