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ラブカルチャースクール 3
第24章 I Lesson 8回目
「セイジ……なんで?」

居ないと思っていたセイジが居る――――。

頭が真っ白になった私は、逆に質問返しをしてしまう。

だけどそんなこと全く気にする風でもなく、セイジは私の耳元で優しく笑った。

「ははは。驚かせちゃったか。ごめんね」

楽しそうにセイジは言ったけど、肩を包んでいてくれていた腕は解いていく。

そんなセイジに私の胸の中は嬉しさと寂しさが一気に押し寄せてきて、物凄く忙しくなった。

もっと強く抱き締めて――――なんて言いたくても言えない。

セイジがこの部屋に残っていてくれただけでも、今は奇跡だと思おう――――

「う、うん……アラタと一緒に、行っちゃったかと思ったよ……」

――――としても、ずっとセイジに会いたくて、不安でいっぱいだったのもあって、声が震えてしまう。

私の様子に気付かない訳がないカリスマ講師は、甘い笑顔からちょっと困った面持ちになる。

「怖かったよね。不安にさせてごめん……琴海」

抱き締める代わりにセイジは、大きな掌でポンポンと優しく頭を撫でてくれた。

「俺もどうしようかと思ったんだけどさ、レッスンを中止にすることを報告したら……ヤナセが俺は残れって言ってくれたんだ」

事の経緯を説明するセイジの顔は、少し複雑そうな表情を見せていた。

セイジなりに、出来ることをしようとしていてくれたんだもんね。

ヤナセの配慮で二人っきりにして貰えたけど、その真意は多分、私を不安にさせないためだろう。

途端、涙腺が決壊しそうになったが、目を瞑って堪える。

アラタが居なくても、まだレッスン中だ。

何より私はラブカルの女性講師――――昔みたいに簡単に泣いちゃだめだ。

瞼の裏に溢れてくる涙を何とか押し込めて、喉の奥が詰まりそうになりながらゆっくりと言葉を紡ぐ。

「ご……めんね、私こそ。レッスン中止にさせちゃって……」

個人的にはレッスンが中止になったことはほっとしたけど、セイジやヤナセの評価に繋がると思ったら、完全に安心は出来ない。

もしこういうことを起こすために反対勢力が絡んでいたらとしたら、無理にでもレッスンをした方が良かったかもしれないし。

いつも守ってもらってばかりなのに、迷惑をかけてしまう自分が不甲斐なくて情けなかった。

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