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ラブカルチャースクール 3
第25章 Lesson 尊敬と愛
ヤナセはなんで今更、そんなこと言うんだろ?

四天王や他のベテラン講師がヤナセと話すのとは訳が違うのに――――。

それはヤナセ自身が一番、理解しているんじゃないの?

ヤナセは何でもお見通しだけど、逆にヤナセの真意はいつも分からない――――考えても仕方ないよね。

私は気持ちを切り替えることに、意識を注いだ。

「そうです! そうです! 私にとってヤナセさんは、ただの講師じゃないというか『天界人』なんです。もうどこまでも高く雲の上に居るような方なので、タメ口なんてもっての外なんです!」

かなり正直に力を込めて、私にとっての『ヤナセ様』を力説した。

片手を胸元にあてながら天井を見上げると、教室の照明がヤナセに降り注ぐ星の輝きのように見えて眩しくて、うっとりと目を細める。

「琴海、さん……」

「そうでしたか……私、そんなイメージだったのですね」

私の力説にセイジは言葉を詰まらせ、ヤナセは鉤状に曲げた指を顎に宛がって瞼を少し伏せながら考え込んだ。

あれれれ――正直に言っちゃ駄目だったパターンだったかな?

助けを求めるようにセイジに視線を向けたが、口端がやや引き攣っている。

「えっと……嘘は言ってなくて……」

「あ、うん。それはとてもよく分かった。琴海さんが凄くヤナセのことを尊敬していることも、どんなに超越して見えているかも。でも、一応ヤナセも……人間だしさ」

「……え?」

あれ私、ヤナセのこと『人外』みたいに言ったっけ?

言われたことに首を傾げると、セイジは眉間に深い皺を寄せた。

「え、じゃなくてね。くっ……ご、ごめんヤナセ……」

セイジは話している途中で肩を震わせ始め、咄嗟に口元を手で覆い、私とヤナセから顔を背けるように上体を後ろに向けてしまったではないか。

「セイジ? えっと、その……」

自分のせいだと分かっていても、この状況をどうしたらいいのだろう――――。

途方に暮れそうになりかけた時、ヤナセが曲げた指の背で軽くなぞった唇に蕾が咲くような柔らかい笑みを湛えた。


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