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ラブカルチャースクール 3
第25章 Lesson 尊敬と愛
頭を下げたまま、肩を窄めて縮こまる。

あぁ今すぐここに穴でも掘って、埋まってしまいたい。

いつまでたっても頭を上げないでいたら、ポンと優しく肩に手が添えられた。

「琴海さん……」

低くて艶っぽい――――それでいて優しい声が、後頭部に降り注ぐ。

「顔……上げてください」

そう、ヤナセは絶対に怒らない。

解っている――――けどいい加減、それに甘えてばかりじゃいけないのだ。

「でも……」

「クス……上げて貰わないと、私もセイジも困ってしまいます」

うぅっ! 確かそうだ。

このままだと話が進まないし、他の三人が戻ってきてしまうだろう。

そうなると却って二人に迷惑を掛ける結果になりかねない。

「すみません……」

まだ消化しきれない気持ちが重しみたいに頭を上げるのを妨げて、直ぐに体勢が戻せなかった。

ギュっと瞑った目の周りの力を徐々に緩めていくと、真っ黒だった視界に光が差し込んでくる。

そして瞼が開いた瞬間――――!

「ひゃぁっ!」

目の前には、私の顔を覗き込むようにしゃがんでいる――――ヤナセの麗しき尊顔が存在していた。

ペッカ――――ン!

突然視界がヤナセの射す後光に、包まれた感覚に陥る。

眩しさに思わずゴムが弾けたみたいに、反射的に上体が凄い勢いで真っ直ぐに伸び切った。

それはほんの一瞬の出来事――――。

ついさっきまで縮こまっていたのが嘘のように私は背筋を伸ばし、まだ視界に飛び交う後光の残像に目をぱちくりさせる。

今のは一体、何だったんだろう。

毎日見慣れている筈のヤナセなのに一瞬で異次元に飛ばされるこの破壊力は、やはり人間技とは思えない。

「凄い、な……」

傍で見ていたセイジも改めて驚嘆しているのだけど、当のご本人様は何事もなかったかのように優雅に椅子に座り直すと、

「では……報告会を再開させようか」

いつもの妖艶な微笑みを浮かべるだけだった。

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