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ラブカルチャースクール 3
第25章 Lesson 尊敬と愛
「あ、あぁ」

「はい……」

ただしゃがんで顔を覗き込んだだけで、瞬く間に状況を一変させてしまうヤナセ――――やはり恐るべし!

セイジも多分私と同じことを思っているのか、表情が少し強張っているように見える。

でも、でもねセイジ――――さっきと同じことをセイジがやったとしたら、私は抱き着いてしまったと思うの。

だから人によって効能は変わる技なんだよ!

喉まで出かかった言葉をセイジに伝えたい思いでいっぱいになったが、ここは堪えるしかなくて口の中に息を溜めてからゴクリと飲み込んだ。

今度また二人になれた時にでも、伝えよう――――。

そんなことを思って頬を膨らませていた私をしっかりと見ていたヤナセは、にっこりと微笑んでから静かな口調で話を始めた。

「アラタのことだが……セイジの報告にもあったから、色々聞きだしてみたら、スクール講師の応募の切っ掛けが『掟改正』を見込んでのことだったようなんだ」

「え、それって応募してくる前から、『掟改正』があるかもしれないことを知っていたってことか? それって……」

「あぁ……」

話が再開して数秒――――あっという間に、深刻な状況になっている。

――――のは分かるのだけど、二人の頭脳のスピードに私だけついていけていない!

ここは下手に聞かないで、黙っていた方が良いよね?

目と見開いて口を真一文字にしていたら、ヤナセがさも当たり前のように解説をしてくれた。

「琴海さん……言葉足らずで失礼しました。どうやら講師面接を受ける前に、まだ内密な筈の『掟改正』の情報が洩れていた……みたいなのです」

私の理解力が足りないのに、ヤナセはまるで自分たちが至らなかったように気遣ってくれる細やかさが、いつも胸に沁みる。

きっと私が居ない方がスムーズに話が進み筈なのだ。

だけどアラタは私が担当だし、今後のレッスンにも関わる。

そして何より――――『隠密行動』にも影響してくるから、こうやって私にも聞かせてくれているヤナセの信頼が凄く嬉しくもあった。


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