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ラブカルチャースクール 3
第26章 Lesson ご褒美
そうよね。
そうだよね。

例え私の『ご褒美レッスン』の相手がセイジじゃなく、他に選んだ講師でも――――。

ジュリ、カレン、サナの相手がセイジになったとしても――――。

なったと、しても――――しても、もももも――――。

「ももももも……」

「琴海、どうしたの? 桃でも食べたいの?」

抑えきれない心の声が口から洩れてしまって、セイジに聞かれてしまった。

その上、桃が食べたいと勘違いさせてしまったし!

つい数秒前に目の前の現実を受け入れようと思ったばかりなのに、本能は簡単には言うことを利かないようだ。

「ううん! 大丈夫だよ……」

「琴海?」

様子が変な私に、セイジが心配そうに見詰めてくる。

あぁぁぁ、セイジに余計な気を遣わせただけじゃなく、食いしん坊って思われたかも。

どうして私はセイジのことになると、冷静じゃいられなくなるんだろう。

自分の理性のなさが情けなくてしょぼくれてしまいそうだ。

折角久々に二人っきりの僅かの時間を満喫しているのだから、明るい話題でもして楽しもう!

「そうそう! 今回の出張は楽しかった?」

ご褒美レッスンのことから頭を離れようと思ったのもあって、普段滅多に聞かないセイジの仕事の話に触れてみた。

余りセイジの仕事の話を聞いていないのは、無意識にお互いがその話題を避けていたからだ。

セイジは私を心配させないために――――。

私はセイジのレッスン相手に焼きもちを妬かないために――――。

でも、いつも私の話ばかり聞いて貰っているものね。
私もセイジにとって、気軽に色々話せる相手でありたい。

ジッと見詰めて問いかけの返答を待っていると、セイジは一瞬動作を止め、手に持っていたカップをゆっくりとテーブルに置いて、私と向き合うように体勢を変えてきた。

私も改まって話を聞こうカップを置いて、握った両手を腿の上に置いてセイジと向き合う。

至近距離で見つめ合うこと数秒――――。

あぁ、やっぱりセイジはカッコいい!

見慣れている筈の顔なのについついセイジに見惚れてしまって、目からハートが飛び出そうになる。

そんな煩悩に支配されている私の頬へ、セイジはそっと指を添えてきた――――。


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