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ラブカルチャースクール 3
第26章 Lesson ご褒美
ぎゅぅっと目を瞑ってセイジの唇の感触を記憶に刻もうと、触れた箇所に意識を集中させる。

以前みたいに、お金を出せば受けれたレッスンとは違って、今こうしてセイジと過ごせる僅かな時間がもの凄く貴重なのだ。

近くにいるようで、近付けない――――それがラブカルの『掟』。

本当は、今こうしていることすら――――罪。

その背徳に怯えながらも、悦びが突き上げる。

校則違反している罪悪感より、セイジを好きな気持ちが勝ってしまう。

一分でも、一秒でもセイジと一緒にいたい。
もっと触れたい。
セイジ――――!!

「キ……したぁ……」

セイジに直接触れたくて『キス』をせがんでしまったが、声はまた大きな掌の中に包み込まれていく。

なんで~! セイジばっかり自由に動いていてズルい!

声が出せないもどかしさから口が当たる掌に訴えかけてみることにし、唇をもごもごと動かしてみたら、私の妙な行動を察したセイジの動きが一瞬止まった。

セイジは私と視線を合わせるように顔を上げ、乱れた前髪の隙間から色っぽく光る瞳でジッと見詰めてくる。

そして目を細め、甘く微笑み――――。

「琴海、したいの?」

私の情欲を焚きつけるかのように、意味深な言葉で問い掛けてきた。

「ふぅん! ふぅん!」

『したい』がどこに掛かっているかは、もうどうでもいい!
セイジにいっぱい触れられるなら、何でも『したい』!

そう思って渾身の力を込めて答えたら、鼻息がやたら激しくなってしまった。

ただ私の必死な訴えが通じたとしても、それが叶うかは別だ。

餌を求めるワンコみたいに、眼力で必死にセイジに乞い願う。

目の前でふぅふぅ唸っている私にセイジはキュッと口を結び、片方の口角を微かに上げると、私の左手首を掴んで自分の口元に宛がった。

「ん?」

まだ『キス』はして貰えないけど、セイジが何をしようとしている左手に意識が集中する。

さっきまで私の顔や首を這っていたように、セイジの唇が左手に吸い付いてきた。

「あっ……んん……」

親指の付け根からジグザクと、掌に万遍なく唇のスタンプを押してくる。

これはこれで妙にゾクゾクする。
焦らされているからだろうか――――。

思いの外敏感な掌で快感を感じつつ、愛しい唇がこのまま指先まで昇り詰めてくると思っていたら――――

左手の薬指に、押し当ててきた。

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