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ラブカルチャースクール 3
第26章 Lesson ご褒美
様子が少し変わったのに気付いた途端、セイジが唇を放した。

チュッポン! ――――色っぽさとかけ離れた、軽快な音が部屋に響き渡る。

あぁ、セイジの唇が離れてしまったのね――――。

乳白色に染まった意識と視界に埋もれる中でも、セイジの感触が遠のくのが分かった。

この恍惚感にまだ溺れていたい――――私は藁でも掴むように、空に手を伸ばして踠きだす。

「琴海!? 大丈夫?」

「やっ! もっと!」

「琴海!!」

絶頂感でぼんやりしながらバタバタと手を動かし始めた私の様子に驚いたのか、セイジは語気を強めた声で名前を呼び、両腕を背中に回しギュッと力強く抱き締めてきた。

セイジの胸の中にすっぽりと包まれた感触に、胸の中にポッと水面下から気体が浮いたみたいに安堵感が湧き、霞がかっていた意識にも徐々に光が射してくる。

「あ……セイジ……」

「琴海、大丈夫だよ……俺はここに居るよ」

「……うん。安心する」

「あぁ、俺もだよ」

包み込まれた頭の上で、セイジの優しくて甘い声がそっと響く――――。

うん、私もだよ――――セイジ。

さっきみたいな激しいキスも、勿論嬉しい。

どっちがいいかとか比べられないけど、こうやってセイジの腕に包み込まれていると凄く温かくて、幸せで、安心だ。

トックン、トックン――――胸に埋もれる顔に、セイジの鼓動が伝わってくる。

その穏やかなリズムが、とっても愛おしい。

セイジに抱き締められて私が安心出来るように、セイジも私の腕の中で安心してくれるのなら、これからもずっとそれを守っていきたい――――。

「これからも、こうして居たいな」

「……うん、そうだね。でも……」

「え、でも……?」

不意に突かれた切り返しに、身体が一瞬緊張して硬くなった――――

「残念だけど、時間切れなんだよね」

――――が、これまた凄く甘い声でタイムアップを言い渡される。

咄嗟に埋めていた顔を離して見上げると、そこにはちょっと意地悪そうに微笑むセイジの笑顔があった。

もう、もうぅぅぅ――――その笑顔は、

「ズルいぃぃぃぃっ!」


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