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ラブカルチャースクール 3
第26章 Lesson ご褒美
正直、今日のレッスンの相手がセイジじゃないのは、残念だった。

ドアを開けてマサキの姿に凄く驚いた反面、どこか期待していた分ショックでもあったのだ。

そこまでの本音はマサキは知らなくても、私の表情には出ていたと思う。

だけどマサキは、そんな私の情けない感情を瞬間に、そっと両手で包み込むように、覆い隠してくれた――――。

ホズミ姉さんでも違った方法で気を紛らわしてくれたと思うけど、多分勢いで打ち消す感じだろうな。

セイジで頭がいっぱいの私には、冷静になれる機会かも――――。

きっと今日は、大人のマサキから色々と学ばせて貰えとのお告げに違いない。

誰が決めた采配か――――やはりラブカルコンピューター恐るべし!

「ここで立ち話もなんだから、中に入ろうか?」

「あ、はい! そうですよね。ドアの前で失礼しました」

「いや、こちらこそ久々に琴海さんのレッスンだから、嬉しくて浮かれてしまっているね」

冷静なマサキが私ごときに浮かれるなんて、ある筈ないだろうに!

マサキの包容力についつい物思いに耽ってしまったのは私なのに、どこまでもマサキは大人対応である。

あぁ、安心感が半端ない。

最近ずっと不安と緊張のレッスンが続いていただけに、感動して泣けてきそうになるわ。

込み上がってくる涙を抑えようと、くぅ~と顔を顰めて眉間を指で挟んでいる間に、マサキは部屋をグルっと見渡していた。

「相変わらず殺風景な部屋だね、ここは……ゆっくり座って話す椅子もないね」

「え、えぇ。確かに生徒の時の部屋とは全然違うなとは思いました」

「まぁ講師用の部屋だから仕方ないけど、椅子くらいはあって良いだろうに」

許容範囲が広いマサキでも、このレッスン室はいただけないようで苦い笑いをしている。

そんなマサキの姿が新鮮で、ちょっとドキッとしてしまった。

私が女性講師を目指したことを微妙に思っていたマサキが、講師のレッスン室の居心地を気にするのが意外に思えたのだ。

「マサキさんでも、備品とか気になるんですね?」

「ん? あぁ、それは普通に思うよ。特に女性講師の負担を考えると、少しでも心地いい空間にして欲しいしね」


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