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ラブカルチャースクール 3
第26章 Lesson ご褒美
「今日は、唇は遠慮した方が良いよね」

バリトンボイスでが、優しく、甘く――――降ってくる。

唇に宛がわれた指先の意図に、私は目を見開いて固まった。

マサキにしては珍しい行為に驚きもあったが、こんなことした理由はきっと――――『コウセイ』だ。

コウセイから、『キス』は控えるように聞いているんだ。

でもそれは飽くまでもコウセイの判断であって、マサキまで追従する必要はないのに――――。

自然と、マサキが笑顔で頷いている光景が目に浮かぶ。

唇に伝わってくる指先に温もりのように、マサキの人柄の温かさが胸の奥に沁み込んでくる。

本当にもう、マサキとコウセイもなんて素敵なアダルティーズ!!

優しく見下ろしてくるマサキの瞳をジッと見詰め返す。

少し浮いた指先と唇の隙間から、胸の中で膨らんだ思いを息と共に吐きだした。

「ありがとうございます。お言葉に甘えます」

本来なら講師としてはあるまじきなのかもしれないが、私は素直にマサキの気遣いに寄り掛かることにしよう。

正直、先日のセイジとのキスの感触に上書きをしたくない気持ちもあった。

ごめんなさい――――今日だけは、許してください。

このレッスンが終わったら、それこそ我武者羅に頑張るので――――。

誰に届く筈もない決意を心の中で必死に誓うのだが、その決意が剥き出てしまい、表情筋が強張ってしまいそうになる。

明らかに硬くなっている顔に、マサキが気付かない訳がない。

「大丈夫だよ。そんなこと気にする必要はないから」

「え……?」

まさかマサキも、コウセイに続いて読心術をマスターしたのですか!?

不意な言葉に戸惑っている私の耳元に、マサキが顔を近づけてきて――――

「唇以外の所は、沢山キスさせて貰うから……」

恐ろしく色っぽいバリトンボイスを更に若干低めに奏でた上に、心なしかビブラートまで効かせて鼓膜を震わせてきた。


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