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初花凛々
第12章 空は瑠璃色
「いつもはこの子おばあちゃんと来てるんだけどね。いい香りがして、とても優しくて綺麗なお姉さんがいるって私に教えてくれてたの。だから会ってみたいなって思っていたんです」


「そんなこと話してくれてたんだ……」


_____胡桃沢さんって、色気がないもの



如月の言葉とは正反対な、女の子の言葉。それは凛の心を癒すのに充分な潤いを持っていた。


「いつもこの子に優しくしてくれてありがとう」

「いえ、そんな。こちらこそいつも癒されています」


母親に礼を言われ、凛は慌てて礼を言い返した。


またね、と言い、女の子と母親は手を振り帰って行った。向日葵の余韻を残して。


凛の手には、女の子がくれたピンク色の瓶_____イチゴ牛乳。


「あれ?買ったの?」


声がして、振り返ると風呂上がりの麻耶が凛の後ろに立っていた。


「やべ、被ったわ」


そういう麻耶の手にも、握られていたのは同じ瓶。


「コーヒー牛乳の代わりにどうかなと」

「ふふ、ありがとう」


凛は嫌なことなんか全て忘れて、心からの笑顔で笑った。


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