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初花凛々
第2章 蝉時雨
須田を目の前に、凛は固まった。


普段平和に過ごしてきた凛は、こんな気まずい場面に遭遇した事がなかった。


「性格わるー」


須田は一言残し、立ち去っていった。


_____終わった…、何もかも。


始まる前に試合終了。まさにそんな気分だった。


須田と西嶋は仲が良い。だからきっと、胡桃沢凛はとても嫌な女だと言いふらされるだろうと予想した。


「くるちゃん先輩……」


新山の声が、凛の項垂れる背中にかけられた。












「うぇ〜い」


その日の夜、凛は行きつけの銭湯"和みの湯"を訪れた。


お気に入りのはちみつソープで身体を優しく洗った後、かっぽりと肩まで熱い湯に浸かると、思わず声が漏れた。


そんな親父な凛のため息を聞き、そんな声じゃなく甘い喘ぎ声を漏らせと、以前雫と銭湯に来た際に笑われたことを思い出した。


_____やっぱ和みの湯は最高。


凛は頬を桃色に染め、熱い蒸気を胸いっぱいに吸い込み、幸せなため息を吐いた。


息を吐くと同時に、凛の頭を過る今日の出来事。


嘲笑うかのような嫌味な笑みを浮かべた須田の顔がチラついた。


_____忘れよう、今日のことは。どうせ西嶋さんなんて、私の事なんとも思っちゃいない。それより傘を早く返さなきゃ_____


凛はザバッと音をたて、勢いよく湯船からあがった。


脱衣場で全身鏡に映された身体。


まだ、男に触れられたことも、見られたこともない真っさらな身体。


母親譲りの豊満な胸は、なんのためにこんなに存在を主張しているのか。


誰に喜ばれる訳でもないその二つの膨らみを、淡いブルーの下着でそっと包み込んだ。


続けて、凛は苺の匂いがするボディクリームをたっぷりと全身に塗りこんでいく。甘い香りが、凛の女の身体をより一層魅力的に湿らせて行く。


「お姉さん、今日も良い匂いがする!」


銭湯のロビーで、念願のコーヒー牛乳を冷蔵庫から取り出したところで、まだ幼稚園生ほどの女の子に話しかけられた。


和みの湯は常連ばかりだ。その女の子も例に漏れず常連なため、凛とは初顔合わせではない。


今日はとても疲れていたから、女の子の言葉に癒される。
凛は感謝の気持ちも込めて、女の子の小さな掌に持ち合わせていた二つのキャンディをのせると、その女の子は満面の笑みをくれた。


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