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初花凛々
第14章 水魚の交わり
目的もなく入ったコンビニでは、何も買うものがないため凛はぷらぷらと彷徨った。


いや、目的はある。花の香りの_____、薔薇のようなあの女性から逃げるという目的が。


店内を彷徨いていると、ふと雑誌コーナーに凛の目が止まった。


"心のSEXのために"


_____心のSEX?


そんな大胆な言葉が、雑誌の表紙に大きく表示されている。成人向けの雑誌ならば手に取らないが、それは女性向けのファッション誌だった。


表紙は奥ゆかしく目を伏し目がちにした女性が、真っ白なシルクのベッドに横たわっている写真。その写真からはいやらしさというものは全く感じられなかった。


凛はそれを手に取ると、パラパラとページを捲り、"SEXのための"ページを探した。


_____あった。


そこにもまた、美しい女性のヌード写真。ヌードといっても、胸や陰部など、肝心な場所は都合よく隠されているもの。


けれども凛はドキドキしながら、その写真の横から並べられている文字を目で追った。


_____SEXは痛い?


_____どうしたら気持ちよくなる?


凛が今一番気になっているテーマがそこには並べられていて、凛は息を飲むように食い行った。


_____SEXは身体対身体ではない。心対心だ。


まだSEXの世界に片足を突っ込んだばかりの凛には、その言葉の意味はわからなかった。








「凛」

「!!」


凛はまるで悪いことをしているかのように驚いた。


「なにみてんのー?」

「なんでもないですっ」


振り返ると麻耶がすぐ隣に立っていて、凛は急いでその雑誌を閉じた。




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