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初花凛々
第16章 夏深し
凛は圭吾のことを、名前で呼んだことは一度もなかった。
それは雫の恋人になる以前からも。
圭吾、と親しげに呼ぶことに憧れていたあの頃。
夜部屋で、圭吾、と口にして一人恥ずかしくなって。
____懐かしいな……
思い出しながら、凛はわらび餅の最後のひとくちを口に入れた。
「……ところであんた私に何か隠してることあるよね?」
いきなり雫に言われて、凛はわらび餅が喉に詰まりかけた。
「か、隠してること?」
凛はどきりとした。
隠してることといえば、思い当たることはひとつしかない。
昔抱いていた、圭吾への恋心____
「隠してることなんてないよ!?」
否定はしたものの、目は不自然に見開き強い口調。これでは隠してることはありますと言っているようなものだ。そんな凛を見て雫は眉間に皺を寄せた。
「……なんで隠すの?」
「え……」
「なんか、イケメンとスーパーにいたとかって」
「あ」
凛は胸を撫で下ろした。あぁ、なんだそのことか、と。
「そうそう、いたいた!」
「彼氏が出来たなら教えてくれても良くない?私、凛からの報告ずーっと待ってたのに」
雫はそう言って、頬を膨らませた。
それは雫の恋人になる以前からも。
圭吾、と親しげに呼ぶことに憧れていたあの頃。
夜部屋で、圭吾、と口にして一人恥ずかしくなって。
____懐かしいな……
思い出しながら、凛はわらび餅の最後のひとくちを口に入れた。
「……ところであんた私に何か隠してることあるよね?」
いきなり雫に言われて、凛はわらび餅が喉に詰まりかけた。
「か、隠してること?」
凛はどきりとした。
隠してることといえば、思い当たることはひとつしかない。
昔抱いていた、圭吾への恋心____
「隠してることなんてないよ!?」
否定はしたものの、目は不自然に見開き強い口調。これでは隠してることはありますと言っているようなものだ。そんな凛を見て雫は眉間に皺を寄せた。
「……なんで隠すの?」
「え……」
「なんか、イケメンとスーパーにいたとかって」
「あ」
凛は胸を撫で下ろした。あぁ、なんだそのことか、と。
「そうそう、いたいた!」
「彼氏が出来たなら教えてくれても良くない?私、凛からの報告ずーっと待ってたのに」
雫はそう言って、頬を膨らませた。