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初花凛々
第18章 揺蕩う心
「……はぁ」


凛は二枚のチケットをロッカーにしまい、ため息をついた。先ほどまで弾んでいた胸は、いまや完全に沈んでしまっていた。









「くるちゃん先輩!」


午後になり、新山が凛に話しかけてきた。


____奈々


新山の顔を見ると、先ほどの麻耶の声が凛の頭に浮かんだ。


「眼鏡男子は好きですか?」

「え?」

「広報部の藤沢優くんが、くるちゃん先輩のこと可愛いって言ってるんですよー」


言われてすぐはピンと来なかった。


「ちょっと前に偶然帰りが一緒になって。くるちゃん先輩のこと聞かれました」


しばらくして、新山の言う藤沢優と、凛のよく知る優は同一人物だとようやく理解した。


「見たよ。二人一緒に帰ったところ」

「そうなんですか?」


あの時は、統括ミーティングがあるとかないとかで騒いだ日だから覚えている。新山と優が肩を並べて帰るところを、凛も目撃したから。


そしてあの時は麻耶が____


「凛」

「ひゃっ」


麻耶のことを考えていたら、いきなり本人が目の前に現れ驚いた凛。凛の声に、新山も驚いた。


「須田さんじゃないですか。あぁビックリした」

「おまえら失礼すぎだろ」


笑いあう新山と麻耶の姿を見て


また、凛は背を向けた。
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