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初花凛々
第18章 揺蕩う心
凛は自分のデスクに戻り、真っ白なエクセルを前にして、麻耶の言葉を思い返す。
_____他の奴と行けば?
_____他の奴って誰よ。
せっかく誘ったのに、あっさり断るなんて。悲しいのか、怒りなのか、わからないけど凛はとにかく面白くなかった。
「おい」
背後からドスのきいた声が聞こえたが、自分には関係ないだろうと思い無視をした。
「おい、凛」
え、と思い凛は振り返った。
「ちょっと廊下出て」
「あ、はい」
まるで麻耶はタイマンを張る不良のように、表出ろよという雰囲気で凛を廊下へと連れ出した。
その迫力に、思わず凛は素直に従ってしまった。
「なんなんだよ、その態度」
「なんのことでしょうか……」
「なに怒ってんだよ?」
「怒ってません!」
語尾が強くなってしまう凛。これでは、怒っていますと言っているのと同じだ。
「……行くなよ」
「へ?」
「あいつと行くくらいなら、俺と行って」
麻耶は先ほどとは違い、今度は自分と行けと言う。
「なにそれ、我儘」
「そー。俺我儘なんだよね」
「自己中」
「それも当たってる」
ククッと麻耶は笑い、ここは家ではなく社内だというのに、麻耶は凛の頬にそっと唇を寄せた。
「……私も、麻耶と行きたい」
「うん。せっかく誘ってくれたのに、さっきはごめん」
「ほんとだよ」
凛は自分でも、単純だなと思った。
麻耶の言葉ひとつ、態度ひとつで、こんなにも一喜一憂してしまうなんて、と。
_____他の奴と行けば?
_____他の奴って誰よ。
せっかく誘ったのに、あっさり断るなんて。悲しいのか、怒りなのか、わからないけど凛はとにかく面白くなかった。
「おい」
背後からドスのきいた声が聞こえたが、自分には関係ないだろうと思い無視をした。
「おい、凛」
え、と思い凛は振り返った。
「ちょっと廊下出て」
「あ、はい」
まるで麻耶はタイマンを張る不良のように、表出ろよという雰囲気で凛を廊下へと連れ出した。
その迫力に、思わず凛は素直に従ってしまった。
「なんなんだよ、その態度」
「なんのことでしょうか……」
「なに怒ってんだよ?」
「怒ってません!」
語尾が強くなってしまう凛。これでは、怒っていますと言っているのと同じだ。
「……行くなよ」
「へ?」
「あいつと行くくらいなら、俺と行って」
麻耶は先ほどとは違い、今度は自分と行けと言う。
「なにそれ、我儘」
「そー。俺我儘なんだよね」
「自己中」
「それも当たってる」
ククッと麻耶は笑い、ここは家ではなく社内だというのに、麻耶は凛の頬にそっと唇を寄せた。
「……私も、麻耶と行きたい」
「うん。せっかく誘ってくれたのに、さっきはごめん」
「ほんとだよ」
凛は自分でも、単純だなと思った。
麻耶の言葉ひとつ、態度ひとつで、こんなにも一喜一憂してしまうなんて、と。