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初花凛々
第18章 揺蕩う心
「____凛?」
会場内の雑踏に紛れ聞こえた凛を呼ぶ声。
空耳かとも思ったが、もう一度聞こえたことによりそれは空耳ではないと凛はすぐに気が付いた。
「あ____」
振り返り、そこにいたのは____
「……工藤くん」
「凛、二度目の偶然だね」
雫の恋人の、工藤圭吾だった。
「初めまして!私、凛の親友の____」
「雫さん、だよね」
「やば!イケメンに名前呼ばれちゃった!」
キャハハと声をあげ、雫が笑った。
そう、圭吾と雫も、オクトーバーフェストに来ていたのだ。
「それにしても驚いた。私、雫のこと誘おうかと思ってたんだ。でも雫お酒苦手かなと思って」
「うん、苦手だよ。でも圭吾が行こう行こううるさくて」
雫は少し嫌味も交えつつ、隣に座る圭吾のことをわざと睨んだ。
「いやいや。雫が飲めるようになりたいって言ったんじゃん」
「言ったけどいきなり連れてこられるとは思わなかったよ。しかもドイツビールなんて本場の味、私の舌にはもったいないし」
「でもソーセージ美味いだろ?」
「うん。最高に美味しい!」
付き合って五年以上にもなる雫と圭吾。そんな二人を見て、スタート以前から二人を知っている凛も嬉しくなった。
「麻耶、雫も工藤くんも高校一緒なの!」
「そうなんだ」
「部活も一緒なんだよ!」
「仲良しなんだね」
そのことは以前凛から聞いて知っていた麻耶だけれど、凛が楽しそうに話すから、麻耶もそれを黙って聞いていた。
「麻耶も学校一緒なら良かったのに」
「俺、高校は男子校だったんだよ」
「ぽい!」
「どこらへんがぽいの?」
「ギャグセンあるとことか?」
「嬉しくねぇ」
「褒めてるのに」
凛は本当に、楽しく、ご機嫌に会話をした。
雫と圭吾の掛け合いを見て、心痛む時だって確かにあった。
けれどそれはもう完全に過去の話。
睦まじい雫と圭吾を見て、これで良かったのだと思えた。
会場内の雑踏に紛れ聞こえた凛を呼ぶ声。
空耳かとも思ったが、もう一度聞こえたことによりそれは空耳ではないと凛はすぐに気が付いた。
「あ____」
振り返り、そこにいたのは____
「……工藤くん」
「凛、二度目の偶然だね」
雫の恋人の、工藤圭吾だった。
「初めまして!私、凛の親友の____」
「雫さん、だよね」
「やば!イケメンに名前呼ばれちゃった!」
キャハハと声をあげ、雫が笑った。
そう、圭吾と雫も、オクトーバーフェストに来ていたのだ。
「それにしても驚いた。私、雫のこと誘おうかと思ってたんだ。でも雫お酒苦手かなと思って」
「うん、苦手だよ。でも圭吾が行こう行こううるさくて」
雫は少し嫌味も交えつつ、隣に座る圭吾のことをわざと睨んだ。
「いやいや。雫が飲めるようになりたいって言ったんじゃん」
「言ったけどいきなり連れてこられるとは思わなかったよ。しかもドイツビールなんて本場の味、私の舌にはもったいないし」
「でもソーセージ美味いだろ?」
「うん。最高に美味しい!」
付き合って五年以上にもなる雫と圭吾。そんな二人を見て、スタート以前から二人を知っている凛も嬉しくなった。
「麻耶、雫も工藤くんも高校一緒なの!」
「そうなんだ」
「部活も一緒なんだよ!」
「仲良しなんだね」
そのことは以前凛から聞いて知っていた麻耶だけれど、凛が楽しそうに話すから、麻耶もそれを黙って聞いていた。
「麻耶も学校一緒なら良かったのに」
「俺、高校は男子校だったんだよ」
「ぽい!」
「どこらへんがぽいの?」
「ギャグセンあるとことか?」
「嬉しくねぇ」
「褒めてるのに」
凛は本当に、楽しく、ご機嫌に会話をした。
雫と圭吾の掛け合いを見て、心痛む時だって確かにあった。
けれどそれはもう完全に過去の話。
睦まじい雫と圭吾を見て、これで良かったのだと思えた。