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初花凛々
第18章 揺蕩う心
流れで、四人で一緒の卓を囲むことになった。


雫は酒が苦手。それは凛も、恋人である圭吾も知っていた。


「今日はなんか飲めそうな気がする!」


と、突然雫が言い出した。その時点で既に雫はジョッキを一杯空にしていた。普段は小さなグラス一杯でも真っ赤になってしまう雫にとって、これだけ飲めばもうたくさんだ。


「雫無理したらダメだよ。いきなり飲んだら……」

「だってなんだか気分が良くって」


雫は凛を眺め、ニコニコと嬉しそうに微笑んだ。


「私嬉しいんだぁ」


あまりに嬉しそうに微笑むから、凛までつられて笑顔になる。


「凛が男の人と楽しそうにしてるから、嬉しいの」


雫は凛と麻耶の顔を交互に見て、ふふっと声を出し笑う。


「こんなにカッコ良い人が初めての彼氏だなんて、凛なかなかやるじゃん」

「いや、ところが彼氏ではなくて」


以前雫には麻耶との関係は説明したはずだけれど、酒にやられた雫の頭から、それはすっぽ抜けてしまっている。


「……実のところ、私ちょっと安心してるの」


今度雫は、少し声のトーンを下げて話した。


「凛はずっと圭吾のこと好きなのかなって……思ってたから」


凛は雫の発言にどきりとした。たぶん圭吾も。凛は一気に酔いが覚めた気がした。


「本当は凛は圭吾のこと____ 」

「好きじゃないよ!」


不自然すぎるほど強く、凛は否定した。


「あ……、ほら、友達としては、好きだよ?」

「うん、それはわかってるんだけどね。でも圭吾って元々凛のこと好きだったじゃん?だから時々不安だったというか」


凛は酔いこそ覚めたものの、あまりの衝撃に今度は吐き気を覚えた気がした。


「ほんとは、圭吾は凛のことが____ 」


そこで遂に圭吾は、雫のことを制止した。


「凛、気にしないで。雫の言う通り俺は高校入ってすぐ凛に一目惚れしてたんだけど____ 」

「そこに私が横恋慕しちゃったのれす」

「いいから雫は黙ってて」


圭吾は半分笑いながら、過去を思い出し気まずそうにした。






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