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初花凛々
第20章 山、粧う
ズキン、ズキン
翌朝、凛は頭痛に見舞われていた。
____飲みすぎたかも。
かも、というより確実に飲みすぎた凛。頭痛により無意識に眉間には皺が寄った。
「おはよーございまーす」
会社では月一度の朝礼が行われた。当然そこには、麻耶の姿はなかった。
「胡桃沢さんおはよう」
朝礼が終わり、凛に話しかけてきたのは広報部の優。
「……おはよう」
「なんか怒ってる?」
「えっ、全然!いつも通りだよ!?」
別に凛は不機嫌なわけではないが、頭痛のせいでいつもよりも少しぶっきらぼうな挨拶になってしまい、凛は慌てて笑顔を作った。
笑顔を覗かせた凛にホッとした優は、一枚の紙を見せてきた。
「今日の夜あいてる?もしよかったら、映画見に行かない?試写会当たったんだ」
優が見せてきたのは、近々公開予定の邦画。
今話題の若手俳優が主演を務める、ラブストーリーものだ。
「……嫌?」
優は不安げな顔で、凛の顔を見た。
「ううん、嫌とかじゃないんだけど……」
____なんで私?
凛は不思議に思ったが、その時に以前新山に言われた言葉を思い出した。
____広報部の藤沢優くんが、くるちゃん先輩のこと可愛いって言ってました
凛は一気に顔が火照った気がした。新山の言っていることが本当ならば、優はもしかして自分に好意を寄せているのでは?と思ったから。
「……須田がいなくて、寂しそうにしてるから……と思って誘ったんだよね、実は」
「……へ?」
また、ふいに飛び出た麻耶の名前に凛はドキッとした。
「少しでも気分転換になれば、と思って」
優は、麻耶が出張に出かけてから元気のない凛のことを気にかけ、映画に誘ってくれた。その気遣いが、凛は素直に嬉しいと思った。
「こんな突然嫌だよね、ごめん。新山さんとでも行って来ればどうかな?これあげるから」
「いや、一緒に行く!」
「え、いいの?」
「うん、優くんありがとう」
凛がそう言うと、優は目を細め微笑んだ。
凛はその笑顔を見て、心から暖かくなった。
翌朝、凛は頭痛に見舞われていた。
____飲みすぎたかも。
かも、というより確実に飲みすぎた凛。頭痛により無意識に眉間には皺が寄った。
「おはよーございまーす」
会社では月一度の朝礼が行われた。当然そこには、麻耶の姿はなかった。
「胡桃沢さんおはよう」
朝礼が終わり、凛に話しかけてきたのは広報部の優。
「……おはよう」
「なんか怒ってる?」
「えっ、全然!いつも通りだよ!?」
別に凛は不機嫌なわけではないが、頭痛のせいでいつもよりも少しぶっきらぼうな挨拶になってしまい、凛は慌てて笑顔を作った。
笑顔を覗かせた凛にホッとした優は、一枚の紙を見せてきた。
「今日の夜あいてる?もしよかったら、映画見に行かない?試写会当たったんだ」
優が見せてきたのは、近々公開予定の邦画。
今話題の若手俳優が主演を務める、ラブストーリーものだ。
「……嫌?」
優は不安げな顔で、凛の顔を見た。
「ううん、嫌とかじゃないんだけど……」
____なんで私?
凛は不思議に思ったが、その時に以前新山に言われた言葉を思い出した。
____広報部の藤沢優くんが、くるちゃん先輩のこと可愛いって言ってました
凛は一気に顔が火照った気がした。新山の言っていることが本当ならば、優はもしかして自分に好意を寄せているのでは?と思ったから。
「……須田がいなくて、寂しそうにしてるから……と思って誘ったんだよね、実は」
「……へ?」
また、ふいに飛び出た麻耶の名前に凛はドキッとした。
「少しでも気分転換になれば、と思って」
優は、麻耶が出張に出かけてから元気のない凛のことを気にかけ、映画に誘ってくれた。その気遣いが、凛は素直に嬉しいと思った。
「こんな突然嫌だよね、ごめん。新山さんとでも行って来ればどうかな?これあげるから」
「いや、一緒に行く!」
「え、いいの?」
「うん、優くんありがとう」
凛がそう言うと、優は目を細め微笑んだ。
凛はその笑顔を見て、心から暖かくなった。