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初花凛々
第3章 朧月の夜
凛はハッとした。
_____私、今なんて言った?
余計な事を口走ってしまったことに、もう終わりだと、再び絶望が凛を襲った。
_____きっと、須田は馬鹿にしてくる。キスくらいした事ないのかって。笑われちゃう。
すると、須田はスッと凛から離れた。
「……初めてじゃ仕方ねーな」
そう言って、スタスタとテレビのあるリビングへと向かっていった。
凛は、微かに手が震えていた。
「…あ、あの、どうでしょうか…?」
「なにが?」
「えと…、味付けなど…」
凛はあのあと、僅かな食材を使い須田に夕飯を作った。
炊きたての白いご飯。なめこと豆腐のお味噌汁。出し巻き卵に大根おろし。実家から送られてきたぬか漬け。それだけで凛のお腹は満たされるが、須田はきっと足りないだろうと思い、豚肉の生姜焼きもプラスした。
以上が本日の胡桃沢家の食卓である。
「…美味しいよ」
そんな須田の言葉にホッとして、凛の顔にも笑みが浮かぶ。須田はそれ以降は何も言わず、ただ黙々と箸を進めていた。
「あっ、いいよ!座ってて!」
全てを平らげると、須田は茶碗を洗うと言ったので、凛は慌ててそれを制止した。
「勿忘草から貰った緑茶が…あ!勿忘草ってのは私のお気に入りのお店でね、すごく美味しいの!今淹れるね」
実家では、凛の母親はいつも客人が来ると快くもてなしていた。だから凛もそんな母親の姿が焼きつき、そうするものだと自然と身についていた。
凛は手際よく緑茶を淹れると、最近後輩の新山から傘を貸してくれたお礼だと頂いたキャラメル入りのふわふわマシュマロと共に、須田の前に運んだ。
須田は運ばれたそれを見て、「…ども」そう、小さく呟いた。
_____私、今なんて言った?
余計な事を口走ってしまったことに、もう終わりだと、再び絶望が凛を襲った。
_____きっと、須田は馬鹿にしてくる。キスくらいした事ないのかって。笑われちゃう。
すると、須田はスッと凛から離れた。
「……初めてじゃ仕方ねーな」
そう言って、スタスタとテレビのあるリビングへと向かっていった。
凛は、微かに手が震えていた。
「…あ、あの、どうでしょうか…?」
「なにが?」
「えと…、味付けなど…」
凛はあのあと、僅かな食材を使い須田に夕飯を作った。
炊きたての白いご飯。なめこと豆腐のお味噌汁。出し巻き卵に大根おろし。実家から送られてきたぬか漬け。それだけで凛のお腹は満たされるが、須田はきっと足りないだろうと思い、豚肉の生姜焼きもプラスした。
以上が本日の胡桃沢家の食卓である。
「…美味しいよ」
そんな須田の言葉にホッとして、凛の顔にも笑みが浮かぶ。須田はそれ以降は何も言わず、ただ黙々と箸を進めていた。
「あっ、いいよ!座ってて!」
全てを平らげると、須田は茶碗を洗うと言ったので、凛は慌ててそれを制止した。
「勿忘草から貰った緑茶が…あ!勿忘草ってのは私のお気に入りのお店でね、すごく美味しいの!今淹れるね」
実家では、凛の母親はいつも客人が来ると快くもてなしていた。だから凛もそんな母親の姿が焼きつき、そうするものだと自然と身についていた。
凛は手際よく緑茶を淹れると、最近後輩の新山から傘を貸してくれたお礼だと頂いたキャラメル入りのふわふわマシュマロと共に、須田の前に運んだ。
須田は運ばれたそれを見て、「…ども」そう、小さく呟いた。