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初花凛々
第20章 山、粧う
凛は早々と帰宅した。
優は自分の誘いだからと夕飯代を出すと言ったが、凛は断り自分の分を支払った。
「……雨」
アパートの近くまで来ると、空からはパラパラと雨が降り出した。
秋に降る雨は、凛の身体を芯まで冷やしてしまった。
「優くん、昨日はありがとう」
翌日、定時の後に開かれた社内研修旅行のための統括ミーティングで、凛は優に礼を述べた。
「こちらこそ。楽しかったね。またいい映画があったら観に行こうよ」
そんな優の誘いに、凛は小さく頷いた。
「元気ないね」
「えっ、西嶋さんっ?」
ミーティングが始まる直前、凛の隣に座った西嶋が声をかけてきた。いきなりの西嶋の登場に、凛の声は思わず上ずってしまい恥ずかしくなった。
「今日あいつの代わり」
「あ……、なるほど」
出張中の麻耶に代わり、営業部からは西嶋がミーティングに出席した。
凛が入社当時から密かに恋心を寄せていた西嶋。いきなり隣に来て驚きこそしたが、前のような緊張とやらは見受けられなかった。
あんなに上がっていたのが嘘のように、落ち着いて言葉を交わすことが出来た。
「____そういえばさ、またコテージに行くんだけど。胡桃沢さんもどう?」
ミーティング後、西嶋に問いかけられ、凛は口ごもる。
なぜなら凛の脳内には、コテージと聞きあのシーンが思い出されてしまったから。
「えっと、あの……」
「胡桃沢さんが来ないと、あいつも行かないとか言い出してさ」
「へ?」
「あ、噂をすれば」
西嶋の視線の先に目をやると、会議室のドアの所に、麻耶の姿があった。
「麻耶っ!?」
凛は思わず立ち上がり、麻耶の近くへと駆け寄った。
「えっ、なんで?会社に来るの明日からじゃないの?」
凛は驚き、目の前にいる麻耶は本物なのかどうなのかわからないくらいだった。まるでずっと会いたかった芸能人にいきなり会えたような不思議な気持ちになった。
「向こうの都合で1日早く帰れることになってさ」
「そうなんだぁ」
話していると、「麻耶」と、声をかける女性____
「部長に報告行こうよ」
麻耶とその女性の会話を聞き、どうやら出張には二人で行ったらしいということが読み取れた。
優は自分の誘いだからと夕飯代を出すと言ったが、凛は断り自分の分を支払った。
「……雨」
アパートの近くまで来ると、空からはパラパラと雨が降り出した。
秋に降る雨は、凛の身体を芯まで冷やしてしまった。
「優くん、昨日はありがとう」
翌日、定時の後に開かれた社内研修旅行のための統括ミーティングで、凛は優に礼を述べた。
「こちらこそ。楽しかったね。またいい映画があったら観に行こうよ」
そんな優の誘いに、凛は小さく頷いた。
「元気ないね」
「えっ、西嶋さんっ?」
ミーティングが始まる直前、凛の隣に座った西嶋が声をかけてきた。いきなりの西嶋の登場に、凛の声は思わず上ずってしまい恥ずかしくなった。
「今日あいつの代わり」
「あ……、なるほど」
出張中の麻耶に代わり、営業部からは西嶋がミーティングに出席した。
凛が入社当時から密かに恋心を寄せていた西嶋。いきなり隣に来て驚きこそしたが、前のような緊張とやらは見受けられなかった。
あんなに上がっていたのが嘘のように、落ち着いて言葉を交わすことが出来た。
「____そういえばさ、またコテージに行くんだけど。胡桃沢さんもどう?」
ミーティング後、西嶋に問いかけられ、凛は口ごもる。
なぜなら凛の脳内には、コテージと聞きあのシーンが思い出されてしまったから。
「えっと、あの……」
「胡桃沢さんが来ないと、あいつも行かないとか言い出してさ」
「へ?」
「あ、噂をすれば」
西嶋の視線の先に目をやると、会議室のドアの所に、麻耶の姿があった。
「麻耶っ!?」
凛は思わず立ち上がり、麻耶の近くへと駆け寄った。
「えっ、なんで?会社に来るの明日からじゃないの?」
凛は驚き、目の前にいる麻耶は本物なのかどうなのかわからないくらいだった。まるでずっと会いたかった芸能人にいきなり会えたような不思議な気持ちになった。
「向こうの都合で1日早く帰れることになってさ」
「そうなんだぁ」
話していると、「麻耶」と、声をかける女性____
「部長に報告行こうよ」
麻耶とその女性の会話を聞き、どうやら出張には二人で行ったらしいということが読み取れた。