この作品は18歳未満閲覧禁止です
- 小
- 中
- 大
- テキストサイズ
初花凛々
第20章 山、粧う
麻耶とその女性がその場からいなくなり、凛は立ち去る麻耶の後ろ姿をぼうっと眺めていた。
「……そういえば西嶋さんって、椿さんとお付き合いされてるんですか?」
西嶋と二人きりになり、ふと浮かんだ疑問を西嶋に投げかけた。別にそれほど興味があったわけでもないが、間をつなぐ為に聞いてみた。
凛は本当にただ、何も深く考えずに聞いたのだ。
すると西嶋が返してきた言葉は、聞いたことを後悔させるほどに、凛を揺さぶった。
「まさか、付き合ってないよ。椿は須田のことが好きだしね____ 」
「胡桃沢さん?」
「……へ?」
あの後、どうやって駅まで来たのか。凛は自分でもわからない。そして駅では偶然にも優に遭遇した。
「これ、落としたよ」
「え、ああ、ありがとう……」
凛は知らないうちに乗車カードを落としてしまっていた。
「……須田、帰ってきたのに嬉しそうじゃないじゃん」
「……だから、あの人と私は友人だって昨日言ったよ?」
「そう?でも、そんな風にはやっぱり見えないけど。」
「どう見えてるの?私……」
昨日麻耶の悪口を聞いたときは嫌な気持ちになったし、それにさっき、麻耶の姿を見たときには舞い上がってしまった。
それを優に見透かされているのだろうか。だとしたら、きっと変な女だと思われているに違いない、と凛は思った。
麻耶は、いつでも簡単に凛を一喜一憂させる。その原因は凛にはわからないが、振り回されるのは嫌じゃない。けれど度々ふと、心に影が落ちる瞬間がある。
「……疲れてるのかも。最近夏かってくらい暑い日もあれば、もう冬ってくらい寒い日もあって」
「ちゃんと身体も休めないとね。もう少しで社内研修旅行だし、体調整えておかないとだよ」
「……そうだよね」
凛は優に同意しながら頭の片隅で、今日は銭湯に行こうと思った。
「……そういえば西嶋さんって、椿さんとお付き合いされてるんですか?」
西嶋と二人きりになり、ふと浮かんだ疑問を西嶋に投げかけた。別にそれほど興味があったわけでもないが、間をつなぐ為に聞いてみた。
凛は本当にただ、何も深く考えずに聞いたのだ。
すると西嶋が返してきた言葉は、聞いたことを後悔させるほどに、凛を揺さぶった。
「まさか、付き合ってないよ。椿は須田のことが好きだしね____ 」
「胡桃沢さん?」
「……へ?」
あの後、どうやって駅まで来たのか。凛は自分でもわからない。そして駅では偶然にも優に遭遇した。
「これ、落としたよ」
「え、ああ、ありがとう……」
凛は知らないうちに乗車カードを落としてしまっていた。
「……須田、帰ってきたのに嬉しそうじゃないじゃん」
「……だから、あの人と私は友人だって昨日言ったよ?」
「そう?でも、そんな風にはやっぱり見えないけど。」
「どう見えてるの?私……」
昨日麻耶の悪口を聞いたときは嫌な気持ちになったし、それにさっき、麻耶の姿を見たときには舞い上がってしまった。
それを優に見透かされているのだろうか。だとしたら、きっと変な女だと思われているに違いない、と凛は思った。
麻耶は、いつでも簡単に凛を一喜一憂させる。その原因は凛にはわからないが、振り回されるのは嫌じゃない。けれど度々ふと、心に影が落ちる瞬間がある。
「……疲れてるのかも。最近夏かってくらい暑い日もあれば、もう冬ってくらい寒い日もあって」
「ちゃんと身体も休めないとね。もう少しで社内研修旅行だし、体調整えておかないとだよ」
「……そうだよね」
凛は優に同意しながら頭の片隅で、今日は銭湯に行こうと思った。