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初花凛々
第20章 山、粧う
凛はお気に入りの銭湯"和みの湯"へ出向き、疲れた身体を温めた。
けれど今日は頭から熱いシャワーを浴びても、大好きなコーヒー牛乳で喉を潤しても。疲れが取れなかった。
銭湯から出て帰ると、凛のアパートの前には大きな黒い車が一台停まっていた。
よく見覚えのあるそれは____
「いつから待ってたの?」
麻耶だった。
「ちょっと前」
いつからかはわからないし、別に会う約束をしていたわけではないけれど。出張から帰宅して疲れているはずなのに____と、凛は申し訳なく思った。
「家あがってもいい?」
その問いかけには、凛はもちろんだと頷いた。
「俺も和みの湯行きたかったー」
麻耶は凛の銭湯道具を見て言った。
「今から行く?」
「いや。家で入ってきた」
麻耶はいつも凛の部屋に来ると、ソファがあるのに床に座る。凛のお気に入りの猫型クッションは、今や麻耶のお気に入りになっている。クッションをぎゅうっと抱きしめ、顔を埋めて。
「凛、ちょっとこっち来て」
麻耶に言われ、洗濯機を回していた凛も不思議に思いながらも凛は麻耶の言われた通りにした。その様子は、さながら説教前のような雰囲気を醸し出していた。
麻耶は凛が座ったことを確認すると、白い紙袋をテーブルの脇に置き、中を見るよう凛に言った。
「わぁっ、なにこれ!」
「出張土産っす」
袋の中から出てきたそれを見て、凛はおもちゃを目の前に差し出された子どものように目を輝かせた。
「可愛い〜っ!」
出てきたのは、子豚の顔をかたどったスイートポテト。
食べるのがもったいないと凛は言い、パシャっと携帯で写真を撮った。
「あと、これも」
「こ、これは……!」
「本格芋焼酎〜」
麻耶は青い猫型ロボットの声真似をしながら、本場の芋焼酎を凛に見せた。
「九州でしか買えないんだって。通販とかもしてないらしい」
「すごーい!やったぁ!」
大喜びする凛のことを、麻耶はまるで娘を見る父親のような顔で見ていた。
けれど今日は頭から熱いシャワーを浴びても、大好きなコーヒー牛乳で喉を潤しても。疲れが取れなかった。
銭湯から出て帰ると、凛のアパートの前には大きな黒い車が一台停まっていた。
よく見覚えのあるそれは____
「いつから待ってたの?」
麻耶だった。
「ちょっと前」
いつからかはわからないし、別に会う約束をしていたわけではないけれど。出張から帰宅して疲れているはずなのに____と、凛は申し訳なく思った。
「家あがってもいい?」
その問いかけには、凛はもちろんだと頷いた。
「俺も和みの湯行きたかったー」
麻耶は凛の銭湯道具を見て言った。
「今から行く?」
「いや。家で入ってきた」
麻耶はいつも凛の部屋に来ると、ソファがあるのに床に座る。凛のお気に入りの猫型クッションは、今や麻耶のお気に入りになっている。クッションをぎゅうっと抱きしめ、顔を埋めて。
「凛、ちょっとこっち来て」
麻耶に言われ、洗濯機を回していた凛も不思議に思いながらも凛は麻耶の言われた通りにした。その様子は、さながら説教前のような雰囲気を醸し出していた。
麻耶は凛が座ったことを確認すると、白い紙袋をテーブルの脇に置き、中を見るよう凛に言った。
「わぁっ、なにこれ!」
「出張土産っす」
袋の中から出てきたそれを見て、凛はおもちゃを目の前に差し出された子どものように目を輝かせた。
「可愛い〜っ!」
出てきたのは、子豚の顔をかたどったスイートポテト。
食べるのがもったいないと凛は言い、パシャっと携帯で写真を撮った。
「あと、これも」
「こ、これは……!」
「本格芋焼酎〜」
麻耶は青い猫型ロボットの声真似をしながら、本場の芋焼酎を凛に見せた。
「九州でしか買えないんだって。通販とかもしてないらしい」
「すごーい!やったぁ!」
大喜びする凛のことを、麻耶はまるで娘を見る父親のような顔で見ていた。