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初花凛々
第21章 秋桜の夜
麻耶は携帯電話に収められた、出張先で見た景色を凛にも見せてくれた。


そこに写っていたのは、都会の海とは違う顔をした澄み切った青い海や、宝石が散りばめられたような夜景。そして、見たことのないお酒の瓶などが写っていた。


「……そういえば雫と仲直りしたよ」

「良かったね」

「うん!良かったぁ」

「あとは何してた?」

「へっ、何もしてないけど」

「そう?本当に?」


麻耶がしつこく問いかけるので、凛は頭を捻った。けれども思い出されるのはやはり雫と出かけた事だけで、あとは悶々としながら夜が明けるのを待っただけ。


「……そういえば、私変なの」

「変ってなにが?」

「麻耶がいない間、なんもしてないんだよ?なのに、ショーツが冷たくなるという……どっかおかしいのかな?あ、生理が近いのかな?」


凛は全く気付いていないが、それは俗に言う"欲求不満"というやつだ。


人はその欲求を、1人で解決したりもする。


けれどその術を知らない凛は、ただ物思いにふけり、麻耶を想い股を濡らすだけ。


「麻耶は男だからわからないかもしれないけど……」

「どんなときそうなってたの?」

「夜……かな。今麻耶何してるかなぁって思ったりしたときに……」


今日、麻耶は凛の身体を弄るために部屋を訪れたわけではない。


出張の土産を渡すため、そして会えなかった時間を語らうために訪れたのだけれど____


凛の言葉で、麻耶はいとも簡単に男にされてしまう。
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