この作品は18歳未満閲覧禁止です

  • テキストサイズ
初花凛々
第23章 紅葉狩り
「あああああ」


凛のうめき声を聞き、人事の他の社員達はクスクスと笑った。


離陸直前。滑走路に移動をいざ始めようとする機体に、凛は恐怖の極限を迎えていた。


「ごめん、席変わってくれない?」

「えっ!あっ!いいですよ!」


凛の隣は人事の同僚だったが、離陸前、代わりに座ったのは麻耶だった。


「ま、麻耶……!」

「凛のうめき声、俺の席まで聞こえてた」


麻耶は確か凛のずっと後ろの席だったはずだが。その声を聞き、居ても立っても居られないという感じで、麻耶が隣にやって来た。



「麻耶どうしよう。私死ぬの!?」

「落ち着けって」


ゆるゆると、機体は動き始めた。シートベルトを着用するよう指示が出て、空の旅のスタートが示された。


「酔い止め飲んだ?」

「一応飲んだけど、既に気持ち悪い」

「それたぶん、ていうか絶対気のせい」


機体は離陸態勢に入り、前方に備え付けてある大きなモニターには、万が一の非常事態に備えた時の案内が表示されている。


「堕ちるの前提!?」

「違うから」


今より、離陸を知らせるアナウンスが流れ、機体はいざ加速を始めた。


「こわいよぉ」

「大丈夫」


取り乱す凛の手を、麻耶が握った。その手を凛は力一杯握りしめ、身体に襲いかかる重力に耐えた。


怖くて怖くて、それこそ死んでしまいそうな凛だったけれど。麻耶の手は温かく、心強くて。
しばらくすると、身体にかかる重力からふっと解放され、それと共に、飛行機の窓からは眩しい太陽の光と、真っ白な雲の海が見えた。


「も、もう大丈夫……?」

「うん」


凛は掌にいっぱい、汗をかいていた。それどころか、麻耶の手には凛の握りしめた指のあとがくっきりとついていた。


「まだ安心出来ない」

「地に足がつくまでは怖いよね」

「手、握ってて、麻耶」

「りょーかいっす」


麻耶は離された凛の手を再び握った。とても温かく、大きなその手を、凛はジッと見つめた。


「死ぬ時は一緒」


と、凛曰くキラースマイルを炸裂させながら、麻耶は凛の顔を覗き込んだ。























/452ページ
無料で読める大人のケータイ官能小説とは?
無料で読める大人のケータイ官能小説は、ケータイやスマホ・パソコンから無料で気軽に読むことができるネット小説サイトです。
自分で書いた官能小説や体験談を簡単に公開、連載することができます。しおり機能やメッセージ機能など便利な機能も充実!
お気に入りの作品や作者を探して楽しんだり、自分が小説を公開してたくさんの人に読んでもらおう!

ケータイからアクセスしたい人は下のQRコードをスキャンしてね!!

スマートフォン対応!QRコード


公式Twitterあります

当サイトの公式Twitterもあります!
フォローよろしくお願いします。
>コチラから



TOPTOPへ