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初花凛々
第23章 紅葉狩り
凛と麻耶は早速、地元農家が営むワイナリーを訪れた。
そこは市街地から外れた郊外に位置しており、草原が広がる一角にあった。
「期待を裏切らないねぇ」
案内の看板に沿って歩いて行くと、煉瓦造りの建物があった。蔦に覆われているそれを見て、凛はうしし笑いを浮かべた。
地下にはワイン貯蔵庫があり、そこの入り口はアーチ状で歴史を感じる趣のある木の扉だった。それもまた、期待通りだと凛はほくそ笑んだ。
ワインを瓶に詰める工程も見学することが出来、凛と麻耶はガラス越しにそれを眺めた。
「世界にひとつだけのワイン、だって」
麻耶が言い、視線の先にはそれについての案内が記されてあった。好きなワインと瓶を選び、豊富なデザインの中からラベルの下地を選ぶと、そこに名前や日付を入れてくれるという。
「これ……買おうかなぁ」
凛がポツリと呟いた。
「でも凛はワイン飲めないんでしょ?」
「うん。でも、実家の父はワインが好きなの。ウイスキーもよく飲んでるとこ見かけたなぁ。それでコッソリひとくち貰って飲んだら、イソジンだったの……」
懐かしき遠い日の思い出を凛は浮かべながら、その案内に見入った。
建物の二階にはレストランが併設されていて、そこでは天然酵母パンや、自社のワイナリーで作られたワインを使用した料理がふるまわれていた。
赤ワインで牛肉を何日もかけて煮込んだビーフシチューや、白ワインとビネガーを使用したカルパッチョ。地元で採れたえのき茸やしめじ、エリンギをふんだんに盛り込んだアヒージョ。
それに加え、焦がしニンニクの香りにつられた凛のおなかは腹ペコを訴える。
「気になるワインがございましたら、遠慮せず手に取ってご覧ください。試飲も限りはございません。お気に入りのものが見つかると良いですね」
ウエイトレスはワインリストを手渡した。レストランの奥には樽が所狭しと並べられ、その上には何本もの瓶が置かれていた。
「テイスティングってやつか」
「飲もう!」
凛はワインなんか飲めないくせに、麻耶よりも張り切っていた。
そこは市街地から外れた郊外に位置しており、草原が広がる一角にあった。
「期待を裏切らないねぇ」
案内の看板に沿って歩いて行くと、煉瓦造りの建物があった。蔦に覆われているそれを見て、凛はうしし笑いを浮かべた。
地下にはワイン貯蔵庫があり、そこの入り口はアーチ状で歴史を感じる趣のある木の扉だった。それもまた、期待通りだと凛はほくそ笑んだ。
ワインを瓶に詰める工程も見学することが出来、凛と麻耶はガラス越しにそれを眺めた。
「世界にひとつだけのワイン、だって」
麻耶が言い、視線の先にはそれについての案内が記されてあった。好きなワインと瓶を選び、豊富なデザインの中からラベルの下地を選ぶと、そこに名前や日付を入れてくれるという。
「これ……買おうかなぁ」
凛がポツリと呟いた。
「でも凛はワイン飲めないんでしょ?」
「うん。でも、実家の父はワインが好きなの。ウイスキーもよく飲んでるとこ見かけたなぁ。それでコッソリひとくち貰って飲んだら、イソジンだったの……」
懐かしき遠い日の思い出を凛は浮かべながら、その案内に見入った。
建物の二階にはレストランが併設されていて、そこでは天然酵母パンや、自社のワイナリーで作られたワインを使用した料理がふるまわれていた。
赤ワインで牛肉を何日もかけて煮込んだビーフシチューや、白ワインとビネガーを使用したカルパッチョ。地元で採れたえのき茸やしめじ、エリンギをふんだんに盛り込んだアヒージョ。
それに加え、焦がしニンニクの香りにつられた凛のおなかは腹ペコを訴える。
「気になるワインがございましたら、遠慮せず手に取ってご覧ください。試飲も限りはございません。お気に入りのものが見つかると良いですね」
ウエイトレスはワインリストを手渡した。レストランの奥には樽が所狭しと並べられ、その上には何本もの瓶が置かれていた。
「テイスティングってやつか」
「飲もう!」
凛はワインなんか飲めないくせに、麻耶よりも張り切っていた。