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初花凛々
第23章 紅葉狩り
まず、ここのワイナリーイチオシの赤ワインを凛は手にした。


"恋する山葡萄"


なんとも可愛らしいネーミングに惹かれた。


そして紙コップにひとくち分を注ぎ、口にふくんだ。


「なにその顔」


隣にいた麻耶は、凛の顔を見て突っ込まずにはいられなかった。


やはり凛は、失礼ながらワインは苦手だと思った。ワインは葡萄を発酵させたものだから、当たり前なのだけれど。その発酵しきった味がどうも苦手だと感じられる。


「ワインの王道は初心者には不向きだと思うよ」


そう言って麻耶は数ある中から選び、これならどうかと凛に手渡した。


"お姫様のシャルドネ"


そのネーミングに、凛にピッタリじゃん、と言い麻耶は笑った。


「ん!これは!」

「イケる?」

「うんめ〜!」


麻耶から手渡されたそれは、先ほど飲んだものとは大違い。しゅわっとした炭酸が口内で弾けて、発酵臭を和らげてくれる。
葡萄本来の甘みすら感じるほどだった。

凛はついつい親父になってしまう。これは飲みやすい、と凛は思った。麻耶が凛に手渡したのはスパークリングワイン。

日本酒でもそうだが、スパークリングだと初心者でもすんなりとその味に馴染むことが出来る。


「白のスパークリングワイン。気に入った?」

「うん!」


それからもいくつか試飲したが、やはり凛は赤よりも白がいいな、と思った。


パンも料理もたらふく食べ、凛は白のボトルを一本開けた。


麻耶も手伝ってはくれたが、ワイン素人にしてはなかなか飲んだな、と凛は思った。


「美味しかったぁ」


お腹も満たされて、二人は最後に一階にある販売店に立ち寄った。


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