この作品は18歳未満閲覧禁止です
- 小
- 中
- 大
- テキストサイズ
初花凛々
第23章 紅葉狩り
凛は迷ったが、実家の父に土産としてワインを購入することに決めた。
もちろん、世界にひとつだけのもの。
「父の名前と、んーとあとは日付」
「お父さんの誕生日にするの?」
「ううん、今日の日付にする」
凛は今日の日付に決めた。麻耶とここを訪れた記念でもあるし、と思って。
「俺も白一本買ってくわ」
「お土産?」
一瞬、無意識に凛の頭には椿の顔がポッと浮かんだ。
「いや、自分用。今日部屋で飲む」
「えー、ずる!」
「凛も来れば?」
「え、だって誰かと相部屋なんでしょ?」
麻耶はニヤッと口角を上げ笑った。
「俺、一人部屋なんだよね」
「えー!それこそずる!なんで?」
「二人ずつ割り振りしてったら一人あぶれたから。統括の権利をフルに活用」
「卑怯ー!」
「だから、来て。一緒に飲も」
その誘いには、断る理由なんてひとつも見受けられない凛。迷うことなく首を縦に振った。
それぞれワインを購入して、宿へと向かう。
宿へ着いた時、夕飯まであと30分。先ほどワイナリーでたらふく美味しいものを食べた凛は、ほとんどお腹がすいていなかった。
「わ、ほんとに一人部屋だぁ。いいなー」
夕飯まで、凛は麻耶の部屋で時間を潰すことにした。凛の相部屋は新山とだから、別に部屋に戻っても良かったのだけれど。
凛は麻耶のところへ、吸い込まれるようにやってきた。
「ふふ、麻耶お酒の匂いがする」
「凛もね」
麻耶は座椅子に胡座をかいて座り、その脚の間に凛は座った。一人部屋といえども、割と広いこの部屋で。なぜか二人は同じ座椅子に座る。
凛は麻耶に向き合うように座り、背中に腕を回し抱きついた。
凛は薄々、自分は甘えん坊かもしれないと気付いていた。きっとそれは相手が麻耶だから。凛の心の闇や、葛藤。悩みを全て知っている麻耶だから_____
「……麻耶」
凛はポツリと、麻耶の名を呟いた。別に用がある訳ではないけれど。
凛の声に反応し、麻耶が視線を凛に向け、二人はしばし見つめ合う。
「……呼んでみただけ」
「なんだよ」
麻耶も、こうして凛に精一杯甘えられるのも悪くない、と思った。
今まで経験も何もなく、真っさらな凛。
そんな凛にはなにか、とびっきり甘えさせたくなる何かがある、と麻耶は思った。
もちろん、世界にひとつだけのもの。
「父の名前と、んーとあとは日付」
「お父さんの誕生日にするの?」
「ううん、今日の日付にする」
凛は今日の日付に決めた。麻耶とここを訪れた記念でもあるし、と思って。
「俺も白一本買ってくわ」
「お土産?」
一瞬、無意識に凛の頭には椿の顔がポッと浮かんだ。
「いや、自分用。今日部屋で飲む」
「えー、ずる!」
「凛も来れば?」
「え、だって誰かと相部屋なんでしょ?」
麻耶はニヤッと口角を上げ笑った。
「俺、一人部屋なんだよね」
「えー!それこそずる!なんで?」
「二人ずつ割り振りしてったら一人あぶれたから。統括の権利をフルに活用」
「卑怯ー!」
「だから、来て。一緒に飲も」
その誘いには、断る理由なんてひとつも見受けられない凛。迷うことなく首を縦に振った。
それぞれワインを購入して、宿へと向かう。
宿へ着いた時、夕飯まであと30分。先ほどワイナリーでたらふく美味しいものを食べた凛は、ほとんどお腹がすいていなかった。
「わ、ほんとに一人部屋だぁ。いいなー」
夕飯まで、凛は麻耶の部屋で時間を潰すことにした。凛の相部屋は新山とだから、別に部屋に戻っても良かったのだけれど。
凛は麻耶のところへ、吸い込まれるようにやってきた。
「ふふ、麻耶お酒の匂いがする」
「凛もね」
麻耶は座椅子に胡座をかいて座り、その脚の間に凛は座った。一人部屋といえども、割と広いこの部屋で。なぜか二人は同じ座椅子に座る。
凛は麻耶に向き合うように座り、背中に腕を回し抱きついた。
凛は薄々、自分は甘えん坊かもしれないと気付いていた。きっとそれは相手が麻耶だから。凛の心の闇や、葛藤。悩みを全て知っている麻耶だから_____
「……麻耶」
凛はポツリと、麻耶の名を呟いた。別に用がある訳ではないけれど。
凛の声に反応し、麻耶が視線を凛に向け、二人はしばし見つめ合う。
「……呼んでみただけ」
「なんだよ」
麻耶も、こうして凛に精一杯甘えられるのも悪くない、と思った。
今まで経験も何もなく、真っさらな凛。
そんな凛にはなにか、とびっきり甘えさせたくなる何かがある、と麻耶は思った。