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初花凛々
第24章 朝ぼらけ
部屋の入り口で、立ったまま口付けを交わしていた二人。


もつれ込むように床に倒れ、凛は畳の上に組み敷かれた。


ふと、テーブルの上に目をやると、先ほどまでたくさんの酒の缶や瓶、グラスが並んでいたが既にそれらはなくなっていた。


一体どれくらい小松の腕の中にいたのか、それすらも凛はわからない。


もしかしたら、凛が目を覚ます前にもキスされたかもしれない。先ほど小松は、そんなことをする輩がいると自ら言っていた。


_____恋人がいるのに、なぜ?


凛に小松の心中はわからなかった。


「……麻耶」


口付けの合間に、凛は麻耶の名を呼んだ。


麻耶と凛の唇は、互いの唾液で艶が出るほどに潤んでいる。


「……もっと、して。麻耶のキスで、さっきのキスを忘れさせて欲しい……」


凛は欲求を露わにした。先ほど小松にされたキスは、それこそ泣くほど嫌だったのに。心を許した麻耶になら、いくらでも_____


凛は本能のまま麻耶を求めた。


悔しさと、凛の欲求をぶつけられた麻耶もまた。


激しく感情を揺さぶられた。


「……っ」


凛は激しい口付けの嵐に巻き込まれた。


麻耶の理性はもう、糸がピンっと張り詰めた状態。少しでも刺激されたら、あっという間に切れてしまいそうなほどに。


凛は舌の絡め方なんか知らない。俗に言われるディープキスなんて、存在は知っていても、どんなふうに舌を動かすかなんてわからない。


けれども、凛の中に眠る女の本能がそれを突き動かす。


凛は麻耶の温もりを求め、凛の唇の隙間を縫って入ってくる麻耶の舌を、角度を変えながら何度も何度も絡め、時に唇も吸った。


_____このまま、ひとつになりたい_____


再び、挿入して欲しいという欲求までもが湧き上がってきた凛。


そんなことを思う凛は自分では今、どんな表情をしているかなんて想像もつかないだろう。麻耶もまた、腕の中にいる凛にこのまま挿入してしまいそうだと思った。


自分を求めてくる凛_____


女のそれを存分に発揮している凛は、とてつもなく色っぽく、魅力的で。麻耶の男の部分を容赦なく刺激する。
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