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初花凛々
第25章 天つ乙女
さすが、営業部の面々は夜の接待に慣れているだけあって、昨夜どんなにお酒を浴びようとも朝は爽やかだった。
麻耶に続き西嶋と野村も姿を現し、おはようと元気に凛と新山に挨拶をした。
「あれ?小松どこ行った?」
何も知らない野村は、少し離れた所で煙草を吸っていた小松に声をかけた。
_____やっば、どうしよう!?
どんな反応をしたらいいかわからず、凛は近づいてくる小松を見てオロオロした。
_____逃げる!?え、このトレイ持って!?
たくさん盛られたそれを手に、凛は立ち尽くすしかなかった。
「……胡桃沢さん、ちょっと、いい?」
「え!?あぁ、はい!!」
小松の方から、凛に話しかけてきた。
「あ、ごめん。それ食べてからでいいよ」
「へっ?」
小松は大量に盛られた凛の皿を見て、朝食後にしようと言った。
「凛、それソースだよ」
「え」
麻耶に突っ込まれるまで、凛はバナナにチョコソースと間違え中濃ソースをかけていた。
「大丈夫。もう変なことされないから」
「え……?」
「小松。あいつも普段はあんな事しないんだけどね」
「そうなの?」
「うん。彼女一筋十年だからな」
「なのに、なんで……」
凛は思い出す。酔っていたけれど、小松の仕草や言葉は覚えている。
_____もったいぶってんの?
大切なキスをそんな風に言われて、すごく嫌な気持ちだったことも。
「言えば?あいつも話してわかんない奴ではないから」
「でも……怖いよ」
男の力の強さを、凛は昨日初めて知った。
父親との触れ合いもあまりなく、男性経験も浅く。いつも隣にいてくれる麻耶は優しかったから、凛は知らなかった。
男が狼になる瞬間というものを。
「大丈夫だから。ヤバイって思ったら名前呼んで」
「麻耶の?」
「うん。スタンバイしとくから」
「……ありがとう」
凛はそれを聞いて、小松に昨日のことをちゃんと言おうと思った。
そして、麻耶と仲の良い人なんだから、根っからの悪人ではないはずだ_____とも思った。
麻耶に続き西嶋と野村も姿を現し、おはようと元気に凛と新山に挨拶をした。
「あれ?小松どこ行った?」
何も知らない野村は、少し離れた所で煙草を吸っていた小松に声をかけた。
_____やっば、どうしよう!?
どんな反応をしたらいいかわからず、凛は近づいてくる小松を見てオロオロした。
_____逃げる!?え、このトレイ持って!?
たくさん盛られたそれを手に、凛は立ち尽くすしかなかった。
「……胡桃沢さん、ちょっと、いい?」
「え!?あぁ、はい!!」
小松の方から、凛に話しかけてきた。
「あ、ごめん。それ食べてからでいいよ」
「へっ?」
小松は大量に盛られた凛の皿を見て、朝食後にしようと言った。
「凛、それソースだよ」
「え」
麻耶に突っ込まれるまで、凛はバナナにチョコソースと間違え中濃ソースをかけていた。
「大丈夫。もう変なことされないから」
「え……?」
「小松。あいつも普段はあんな事しないんだけどね」
「そうなの?」
「うん。彼女一筋十年だからな」
「なのに、なんで……」
凛は思い出す。酔っていたけれど、小松の仕草や言葉は覚えている。
_____もったいぶってんの?
大切なキスをそんな風に言われて、すごく嫌な気持ちだったことも。
「言えば?あいつも話してわかんない奴ではないから」
「でも……怖いよ」
男の力の強さを、凛は昨日初めて知った。
父親との触れ合いもあまりなく、男性経験も浅く。いつも隣にいてくれる麻耶は優しかったから、凛は知らなかった。
男が狼になる瞬間というものを。
「大丈夫だから。ヤバイって思ったら名前呼んで」
「麻耶の?」
「うん。スタンバイしとくから」
「……ありがとう」
凛はそれを聞いて、小松に昨日のことをちゃんと言おうと思った。
そして、麻耶と仲の良い人なんだから、根っからの悪人ではないはずだ_____とも思った。