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初花凛々
第25章 天つ乙女
凛はその酒を絶賛し、おかわりまでした。


「なんか唇の様子がおかしい」


二杯目を飲み終えたところで、凛は唇に違和感を覚え麻耶に訴えた。


「火傷したんじゃねーの。これ熱いのに凛ハイペースだし」

「そのせいかなあ?それよりも昨日の____ 」


____キスのせいじゃなくて?


そう言いかけて、凛はやめた。


すぐ隣にある麻耶の唇。男の子なのに桃色で、艶々で、丁度いい厚さのその唇。
それを凛は昨晩から今朝にかけ、何度も求めひたすら味わったことを思い出した。


「凛?」

「えっ、あっ、これ美味しい!」

「知ってる」


もう何度目にもなる凛の"美味しい"コメントに、麻耶は可笑しくて笑ってしまった。


____あぁ、キスしたい。


それも今すぐに。凛は再び麻耶の唇に魅入る。その感触を知ってしまった今、その欲は更に強く加速したように思えた。


けれど今朝から、麻耶は至って普通の態度。


凛のように動揺を見せることもなく、ぼんやりとする様もなくいつも通りだった。


その様子から、こんなにも口付けを求めているのは自分だけなのかと、凛は恥ずかしくなった。


麻耶は凛と違いたくさんの経験があって。そんな経験がひとつもないことを、凛はいきなり恥ずかしく思った。


____覚えたての動物みたい。


そんな風に、自分を責めた。
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